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防犯対策をしていますか?
 

 近年、日本の「安全神話」は揺らいでいる、といわれています。確かに、日々 の報道でも、凶悪な傷害事件や悪質な詐欺などが、数多く取り上げられていま す。そこで今回は、私たちにできる防犯対策の一部をご紹介したいと思います。

住居やその周辺でできる防犯
 空き巣や強盗といった、いわゆる「泥棒(侵入犯)」からターゲットにされやすいのは、入りやすい住居。侵入作業に5分かかると約7割、10分かかると約9割の泥棒が諦めるとされています。自分の住まいを点検して、泥棒が諦めるような住居に改善しましょう(図参照)。  
 また、ご近所づきあいも大切(表参照)。治安向上には「地域の目」が必要不可欠なのです。
 
  
その他の泥棒対策(一例)
・ゴミ捨てなど、ちょっとした外出時にもドア、窓の施錠を!
・集合住宅ではオートロックを過信しない。また高層階でも、窓は開けっ放しにせず、補助鍵も設置すること
・今の泥棒はスーツや普段着、作業着など、一般の人と変わらぬ格好をしている。また、宅配業者などになりすました強盗も!容姿にとらわれず、知らない人の来訪時には用心すること  など
 
(表、図ともに「簡単な工夫で身を守る!1人暮らしの防犯マニュアル(編著:生活安全向上委員会 刊:PHP研究所 2004年)」より引用) 
 
詐欺や悪徳商法に対する防犯
 ここ数年、詐欺や悪徳商法は巧妙化する一方。狙われる年代も、お年寄りが多いものの、若い世代を狙ったものもあります。性別や年代に問わらず、注意しましょう。
 
よくある詐欺や悪徳商法
【リフォーム詐欺】
不必要なリフォーム工事を契約させ、高額な料金を請求する。お年寄りが被害にあいやすい。 基本的な対抗策は、訪問販売員、自分が頼んでいない工事業者などは、一切家に入れず、相手にしないこと。また、こういった業者の 「すぐに建て替えないと柱が腐って家が倒れる」といった不安をあおる言葉は無視し、気にしない。
 
【オレオレ(振り込め)詐欺】
中高年の女性に被害多い。親族や警察官、弁護士などを装って「お金が必要だから、今すぐ口座に振り込んで!」と連絡が来る。このような場合、どんな内容であれ1度電話を切り、本人に直接連絡、確認する。なお、警察官が示談を勧めたり、弁護士や保険会社が当事者の家族に電話で示談金の要求 をすることはない。
 
【架空請求詐欺】
身に覚えのない請求書(請求メー ル)を送りつけ、金銭を振り込ま せる。30〜50代男性に被害が多い。もし身に覚えのない請求書が届いたら、徹底的に無視!
請求書に書かれた連絡先には絶対に連絡しない。
この他、催眠商法、デート商法、役所の人間をかたった詐欺など、手口は多種多様。それらへの共通した対抗策は、(1)訪問販売員や席上の勧誘員は無視 (2)高額な買い物や契約は絶対に即決しない (3)見知らぬ訪問者や突然電話してきた相手の肩書や話の内容は簡単に信用しない (4)「必ず儲かる」「チャンスは今だけ」「家が腐る」など、心を惑わす甘言や、必要以上に購買意欲を焚きつける言葉、不安をあおる言葉は鵜呑みにしない など
 
もし詐欺や悪徳商法の被害にあった場合は、躊躇せず、すぐに消費生活センターや弁護士、最寄りの警察などに連絡、相談しましょう。クーリング・オフなどの善後策を説明してくれますし、場合によっては被害を最小限に食い止められます。
 
路上での防犯
 路上では、ひったくりに注意が必要です。また、自転車やバイク、自動車の盗難、車上荒らしにも、充分な対策を行ないましょう。
 
ひったくり対策(一例)
・ショルダーバックはたすきがけにして肩からかける。ハンドバックは車道と反対側に持つ
・暗い道、細い道は極力避ける。また、携帯電話で会話やメールに夢中にならない
・自転車の前かごには、市販の防護ネットを など
 
乗り物の盗難対策(一例)
・自転車やバイクには鍵を2個つける。また、バイクや自動車には盗難防止装置を
・明るく管理の行き届いた駐輪場、駐車場に保管。自宅の駐車場もセンサーライトを取りつけるなど、対策を
・降りて離れるときは、短時間でも施錠。窓も閉める
・自動車の車内に貴重品やスペアキーを置かない  など
  
 
子どもの防犯
 近年、子どもを狙った痛ましい犯罪が続いています。こうした犯罪を未然に防ぐため、また、子どもが犯罪にあいそうになったときに水際で阻止するため、親ができること、地域でできることは、多くあります。 
そのひとつひとつを実践して、我が子を、そして地域の子どもたちを守ってあげましょう。
 
 
子どもたちを犯罪者から守る対策(一例)
【親が行なう対策】
・近所の危険な場所(人の目が届きにくく、誰でも出入りできる場所。人気のない路地、公園のトイレなど)や、安全な避難場所(交番、学校、常に在中者がいる公共施設など)を子どもと一緒に見てまわり、確認する
・友だちと一端に登下校させるなど、なるべくひとりで行動させない。また、防犯のブザーやホイッスルなどを持たせ、使い方も教える
・知らない人は当然だが、知っている人でも親から直接許しがない限り、ついていかないように教える
・何かあったとき、すぐに相談できる親子関係をつくる など
 
【地域で行なう対策】
・防犯パトロールや、「子ども110番の家」に参加するなど、地域の防犯活動に協力する。活動に参加するのが難しければ、買い物や犬の散歩、玄関掃除、花の水やりといった外出や屋外活動の時間を学校の下校時間にあわせる、日頃から近所の人(子どもだけではなく、親とも)とあいさつをするなど、無理なくできることからやってみる  など
 
 この他にも、クレジットカードのスキミング犯罪やインターネット、メールを悪用した犯罪などがあり、新たな手口も次々と世にでてきます。
 悲しいことですが、現在の日本の治安は、昔ほど安全とはいえません。自分の命や財産を守るためには、私たちひとりひとりが、防犯意識を高めなくてはなりません。テレビのニュースや新聞、雑誌の特集記事など で、犯罪についての情報を仕入れておくようにしましょう。また、自治体の広報誌やご近所付き合いなどを通じて、近所の治安状況を把握してください。  
 なお、私たち「防犯の素人」にもわかりやすく書かれている防犯のマニュアル本が、数多く出版されています。書店で手に入りますし、図書館にも置いてあるはずです。この機会に、ぞれらの本を読んでおくことをお勧めします。
 
 
※参考として、今回の執筆にあたり使用した資料の一部を掲載しておきます。
・セコムが教える防犯プロのアドバイス(編:セコムIS研究所 刊:日経BP社 2006年)
・一家に一冊 新・防犯手帳 お金と命が危ない!(著:梅本正行 刊:あ、うん 2006年)
・かんたんな工夫で身を守る!1人暮らしの防犯マニュアル(編著:生活安全向上委員会 刊:PHP研究所 2004年)
・狙われない子どもにする!親がすべきこと39(著:国崎信江 刊:扶桑社 2006年)
  
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2008年12月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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