知るほどTopics
 近年、ペットブームとよばれ、ペットショップには、動物園さながらに様々な動物が並び、道を歩けば犬を散歩させる人とすれ違うことが多くなりました。 

 けれども、その陰で、様々な問題や悲しい現実があるのもまた事実です。ペットを飼うことは、ひとつの命を預かること。今回は、ペットを飼うことの素晴らしさと、そして現状の難しさを取り上げたいと思います。

 
【動物に癒される…】

動物と接するとき、心が穏やかになることを感じる人も多いでしょう。動物による癒しにアニマルセラピーがあります。ひと口にアニマルセラピーといっても、その方法は多岐に渡ります。例えば、ある疾患の改善を目的とする場合、専門家が組んだプログラムに沿って、医師なども関わり、患者さんが動物と接触する機会を設けながら治療が行なわれます。イルカに触れ、ともに泳ぐことで心を癒すアニマルセラピーをテレビなどで目にしたことがある方もいらっしやるのではないでしょうか。また、そうした、専門的な「治療」でなくても、動物による癒し効果は多く知られています。動物を連れたボランティアが老人ホームなどの施設を訪れたことで、お年寄りの表情が明るくなったり、施設で動物を飼ったことで、寝たきりの方が減った例もあります。
 
 
【ペットロス】

 現在、ペットを飼っている人は、ペットのことを「家族の一員」と考えている人が多いのではないでしょうか?「愛玩動物」という意味を表わす「ペット」ではなくコンパニオン・アニマルという呼称が広まっているのも、飼い主と動物との関係が密になっていることを現わしているような気がします。しかし、人間よりも寿命が短い動物と暮らす限り、必ずやってくる最期のときを看取る覚悟と責任も必要です。ペットの存在が大きくなるだけ、その別離もつらいものになるからです。 このため、ペットを失なった悲しみから、なかなか立ち直れずに体調を崩してしまうペットロスになる人も少なくありません。そんなときは、悲しみを抱え込まず、誰かに自分の今の正直な気持ちを聞いてもらうとよいでしょう。また、心療内科を受診するという方法もあります。ペットの死は、悲しいものです。しかし、傍らで心を和ませてくれたり、毎日を輝かせてくれた思い出が、心を慰め温めてくれる日が必ずやってくることを信じて下さい。
 
 
【人畜共通感染症】

 ペットを飼う上で気をつけたいのが、ペットから人間にうつる人畜共通感染症です。ペットがかわいいからといって、餌を口移しで与えるなど過度に接触しすぎないこと、また、飼育環境が不衛生にならないよう気をつけることが大切です。

人畜共通感染症の例 ・イヌ回虫症 ・パスツレラ症 ・ネコひっかき病 ・オウム病 ・ダニ皮膚炎
など
 
 
【里親とともに…新しい生活を始める犬たち】

 ペットとして人間に迎え入れられた動物たちの全てが幸せになるとは限りません。悲しい現実ですが、毎日たくさんの犬猫たち―捨てられたり、野生化して自治体に捕獲された犬猫ヽ飼い主自身の手によってもち込まれる犬猫―が、全国の動物愛護センターに集められ、年間で40万頭以上が悲しい最期を迎えています。皆さんは、この現実をどう受けとめますか?一方で、そうした動物たちを一匹でも多く救おうと、地道に活動をしているボランティア団体も各地域に存在しています。ここでは動物愛護センターに収容された犬が、ボランティアの人々によって、新しい飼い主―里親に出会うまでをみてみましょう(下参照)。 里親を募集している成犬の場合は、身体の大きさや性格を把握しやすく、しつけに時間のかかる仔犬と比べて、環境に適応するのが早いというメリットがあります。自分の年齢やライフスタイルに合ったペットを選ぶとき、そうした理由で里親という選択肢をとることもできるのではないでしょうか? 成犬はなつかないということは全くありません。ただし、一度人間に捨てられた動物は、心に傷を負っています。里親になるには、動物の傷ついた心を包み込み、時間をかけて癒してあげる心構えが必要です。また、里親でなくても、私たちがやれることはたくさんあります。まずは、今の現状に関心をもつこと。それから、ペットの長生きのために避妊・去勢手術を前向きに考えることも大切です。そして、もし動物を飼い続けることができなくなった場合、決して捨てたり、安易に動物愛護センターにもち込まないでください。ボランティア団体などに相談し、必ず新たな生活場所を確保してあげてください。  
 
●犬たちが里親に引き取られるまで
捨てられた犬、迷い犬、野犬などが、自治体によって捕獲される
動物愛護センターに送られる。また、飼い主によって、もち込まれる犬もいる(もち込みの場合、翌日には処分対象になってしまうことも……)
動物愛護センターが定めた条件(凶暴性がない、人馴れ、健康体など)を満たした犬が、地域のボランティア団体に引き渡される
団体に引き取られた犬は、避妊・去勢手術が行なわれる
一時預かりボランティアが、各家庭で心身のケアを行なう
里親が募集される
里親希望者は希望の犬と面会し、互いの相性を確認する
トライアル期間を経て、問題がなければ、犬は新しい家庭で飼われ、第二の人生を歩むことになる
   
 
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