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リラックス入門・1 「癒し」ってどういうこと?

前回の6月号では、「癒し」とは一体何なのか、ということを考えてみました。
今回は、日々のストレスとどのように向き合っていけばいいのかを、引き続き、臨床心理士Aさんと一緒に考えてみることにしましょう。

きょうこ(以下・き)「Aさんこんにちは。今回も宜しくお願いします。前回は『癒し」とは、心と身体を緩める手段であるとうかがいました。それから、『癒し』と一口にいっても、私たちが無意識のうちに行なっている「おしゃべり」から、アロマセラピーやマッサージなど自分自身や他人の手を借りて意識して行なうもの、さらにもっと心が深刻な状態であれば、心理療法という手段を行なうということを教わりました」

臨床心理士Aさん(以下・臨)「そんな話をしましたね。なかでも、みなさんが恐らく普段あまり耳にしない『心理療法』について、どんなものがあるのかなど、少し解説を加えてみました。それでは、今回は、どんな話をしましょうか?」

「前回、『癒し』の反対には『ストレス』があって、生活していく上で、このふたつのバランスが大切だとうかがいました。でも、私にはやっぱりストレスって「悪者」のイメージがあるんです。癒されている時間はいいけれど、ストレスを感じている時間は、どんな風に対応したらいいんでしょうか。バランスを保つのって、よく考えると結構難しそうだわ」

「確かに、きょうこさんのいう通りですね。今の社会は老若男女を問わず、何かしらのストレスを抱えがちななかで、自然と『癒し』を求める傾向が強まるのは、納得がいきます。けれども、何でもかんでも解決の糸口を『癒し』に求めるのではなくて、目の前のストレスにどう対応するかということが、とても大切だと私は考えています。大人だけでなく、その方法を子どものうちから身につけておくことで、柔軟な心を育むことになると思うんです。これをストレスマネジメントといいます」

「初めて聞く言葉だわ。詳しく教えてください」

 

心理療法とは…

心理的な問題を探ったり、解決を模索するためにカウンセラーとともに行う、

  • 精神分析
  • 行動療法
  • 来談者中心療法
  • 認知療法
  • 箱庭や絵画の制作
  • 夢分析
  • 家庭療法
  • 動作法
  • 遊び(子供の場合)

などといった手段のこと

 

ストレスマネジメントとは…

 一言では、ストレスと上手に付き合うための工夫、といえるでしょうか。「ストレス」は悪いと思う方が多いようですが、もとは、何らかの刺激を受けている状態というような意味の中立の言葉です。  

 確かに深刻なストレスは心身に悪影響を及ぼしますが、私達は日々色々な出来事(ストレスのもと)に対処することで成長しているともいえます。

 例えば「難しい試験を受ける」というストレス状況を考えてみましょう。試験前に緊張し過ぎて情緒不安定になったり、眠れないなど、それがきっかけで体調を崩すこともありますが、頑張った分の達成感が得られたり、普段とは違う集中力を発揮できるなど、プラスの働きもあるわけです。

 つまリストレスには良い面・悪い面があり、また同じ出来事を経験しても受け止め方には個人差があります。

 ストレスマネジメントという考え方では、その場の状況や自分の状態によって、ときには問題にきちんと向きあう、自分の物事の見方を変える努力をする、ときには辛いことから逃げてみる、気分転換をして気持ちに余裕を取り戻す…など、柔軟な対処ができることを目指します。

 頑張りとリラックスの適度なバランスをとり、ストレスとの折り合いを考えることが、よりよい生き方につながるのではないでしょうか。

 

「頑張り過ぎて疲れてしまったときには、そんな自分に早めに気づくことが大切です。そこで、一度立ち止まって、何かリラックスすることを試みるなど自分のなかでバランスを調整してみてください。焦る必要はありません。それからストレスと向き合って、どんな対処法があるか色々考えてみてください」

「わかりました。やってみます。」

 

 

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2009年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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