人は、一人で生きることはできません。社会のなかで何かしらの役割やつながりをもって生活しています。もちろん、仕事や子育てを終えたお年寄りも例外ではありません。自分が誰かの役に立ち、人から感謝されること、それは生きる意欲につながります。
お年寄りが社会や家庭のなかで何かの役割をもつことは、たいへん重要です。誰かの役に立っている、周りの人に喜んでもらうために行動する。それは生きる意欲につながりますし、生活上の自立心も向上します。
反対に、誰からも必要とされていないという思いは生活意欲の低下を招き、寝たきりや閉じこもり、さらには脳の機能低下にもつながりかねません。
家庭内で必要とされていることを実感してもらうためにも、感謝を示す機会を積極的に探してみましょう。お年寄りは家族のために何をしてくれているでしょうか。新聞を取りにいってくれるかもしれません。食事やおやつを作ったり、趣味のサークルで人形を作ってプレゼントしてくれるかもしれません。
そんなとき、受け取る人が「もうしなくていいよ」と言うのと、「ありがとう」と答えるのとでは、お年寄りの表情は変わってくるはずです。
「ありがとう」という言葉は、言う人にも言われた人にも、前向きなよい感情を生みだします。あいさつや会話は、心を通わせる大事な手段。面倒がらずに、相手の目をみてしっかりと言いたいものです。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年1月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載