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日常生活にも影響…花粉症

 新しい年がやってきたら、もうすぐそこに花粉症の季節が―。 花粉症は誰もがかかりうる病気で、その正体は、花粉に対して人間の身体が起こす異物反応。いったん発症すると自然に治るということはありません。くしゃみ・鼻水、涙目や頭が重いなどの症状は、ひどくなると日常生活に影響を与えることも。それでも早めの対策で花粉飛散期の症状を緩和することができます。

 

どうして花粉症になるの?

   花粉症は、アレルギー性疾患の一つです。わたしたちの身体には、体内に侵入してきた有害なウイルスや細菌などを排除する「抗体」をつくる、免疫機能があります。ところが身体には無害な物質まで異物と認識し、それを排除しようとする過剰な防御反応を起こすことがあります。このように免疫機能が、身体に都合の悪い症状を起こしてしまう病気は「アレルギー」とよばれます。その一つが「花粉症」です。  これまで花粉症の発症は、20〜30歳代に多くみられましたが、最近では老人や子どもにも増えており、ある調査では、約3割の人が花粉症であるといわれています。  

 

花粉症の発症と初期治療

 花粉症は、かぜの流行する時期と季節的にも重なるため、発症初期のくしゃみ・鼻水といった症状だけではかぜとの判別が難しい場合もあります。しかし、さらに目のかゆみ・涙目、頭重感なども含めた症状がいつまでも長引くときは、花粉症が疑われます。

 また、花粉症以外のアレルギー疾患をもっている人、何らかのアレルギー疾患をもっている家族のいる人は、花粉症になりやすいと考えられています。

 きちんと医師の診断を受け、検査によって花粉症と診断されると、適切な薬剤が処方されることになりますが、重症化を防ぐためにも早期の治療開始が望ましいことはいうまでもありません。

 また、すでに花粉症という診断を受けた人も、その年の飛散時期前から、予防的に対応することで症状を軽減することができます。 こうした初期治療は、花粉の飛び始める二週間ほど前から行なうのがよいとされています。

 

花粉症の治療法

 医療機関で行なう花粉症の治療には、症状を抑える対症療法(薬物療法・手術療法)と、体質を変えることにより根本から治す根治療法(減感作療法)があります。  

 薬物療法は、第二世代抗ヒスタミン薬(くしゃみ・鼻水・目のかゆみなど)、化学伝達物質遊離抑制薬(くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど)、点鼻ステロイド薬(くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど) が、患者さんの状態に合わせて処方されます。

 手術療法は、薬物療法のみでは症状が改善されないときに検討されます。レーザーで鼻の粘膜を焼いて花粉に反応しにくくして、鼻づまりを解消させるというものです。

 根治療法として行なわれている減感作療法は、花粉症の原因となる花粉のエキスを少しずつ注射などで体内に入れ、身体を花粉に慣らしていこうという方法です。個人差はあるものの、根治に向けて高い効果が期待できますが、最低でも2年ほど通院を続ける必要があります。

 

自分でできる花粉症対策

 花粉症対策の基本は、原因となる花粉の種類を知り、その花粉との接触をできる限り避けること。そして、家の中にもちこまないことです。そのためにも、まず、医療機関で検査を受け、自分の花粉症の原因となる花粉が何かを知っておきましょう。そして毎年初期治療を受けるだけで、症状はずいぶん楽になります。  

 そのうえで右図のような点を意識して防御することで、かなり症状を軽減できます。じょうずな花粉対策で、うっとうしい春を乗り切りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年2月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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