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男と女の更年期障害

 誰もが迎える「更年期」。この時期は、身体にこれまでとは違った変化が現われます。人によっては更年期障害がみられ、治療が必要なこともあるのですが、今後の健康づくりを考えるのにとてもよい機会でもあります。


 

女性の更年期障害

●特 徴  

 更年期障害の症状は、閉経の前後5年くらいの間に現われます。閉経の前には卵巣の機能が少しずつ低下し、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが徐々に減っていきます。そして閉経するとエストロゲンの分泌はなくなります。 女性の更年期障害では、左のような症状が急に現われてきます。

●症 状

 ほてり・のぼせ・手足の冷え・発汗・頭痛・めまい・不眠・しびれ・どうき・肩こり・腰痛・疲労感・憂うつ・イライラなど。多彩な症状がみられますが、とくにほてり・のぼせ・発汗はエストロゲンの欠乏と深い関係があり、更年期障害の診断材料になります。

●間違えやすい病気

 子宮がん・甲状腺疾患・糖尿病・うつ病など、更年期障害の症状とよく似た症状がでる病気があります。ですから検査をして、それらの病気がないことを確かめる必要があります。

●治 療

 エストロゲンが欠乏しているために症状がでている場合は、ホルモン補充療法が効果を発揮します。ホルモン剤を服用すると、2〜3週間で更年期障害の症状が軽減します。 症状が軽い場合などには、漢方薬を用いた治療もしばしば行なわれます。

 

この時期に気をつけたいこと

 女性ホルモンには、骨粗しょう症を防いだり、コレステロール値を下げる作用があります。また男性ホルモンは、糖尿病・肥満・動脈硬化・がんの防止に関与しています。

 ですから、これらの性ホルモンが減少する更年期以降は、これまで以上に健康づくりに取り組んでいく必要があります。食事は腹八分目にして肥満を防止し、自分のペースで楽しくできる運動を続けましょう。ストレスをためないために、打ち込める趣味やスポーツをみつけてみてください。お酒の飲みすぎや喫煙も控えましょう。

 

更年期とは?

 おおよそ45〜55歳ごろの時期を更年期とよびます。従来は更年期といえば女性の話しでしたが、最近では男性の更年期も話題になっています。  

 この年齢になると、体内の性ホルモンが減少することにより身体に変化が生じます。女性ではエストロゲンという女性ホルモン、男性ではテストステロンという男性ホルモンの減少がみられます。

 更年期障害とは、これらのホルモンバランスの変化によって引き起こされる不快症状が重く、生活に支障をきたしている状態です。また、ホルモンバランスの他に、本人の心理や周囲の環境も更年期障害に係わっています。

 すべての人が更年期障害に悩まされるわけではありませんが、身体の変化を実感する年代でもあります。

 

男性の更年期障害

●特 徴  

 男性には、女性の閉経のようなはっきりとした節目はありません。男性ホルモンが徐々に減少するために更年期障害の症状が現われるのですが、男性の場合、必ずしも性ホルモンの減少が伴うわけではありません。体力の低下や周囲の環境など、他の要因も大きく影響しています。  

 女性の更年期障害は症状が急に現われるのに対し、男性では徐々に現われるのも特徴です。

●症 状

 憂うつ・イライラ・不眠といった精神症状が現われやすい傾向があります。他に、疲労感・ほてり・発汗・しびれなどがあげられます。また、女性にはそれほどみられない、性機能の低下を伴う場合も多くあります。

●間違えやすい病気

 前立腺肥大症・糖尿病・うつ病などの症状は、更年期障害の症状とよく似ています。更年期障害を診断する前に、これらの病気が隠れていないかを調べなければなりません。

●治 療

 男性ホルモン(テストステロン)の減少がみられる場合は、ホルモン補充療法が有効です。2〜3週間に1回、注射による補充が一般的です。  また、場合によっては抗うつ薬や勃起障害治療薬、漢方薬なども用いられます。  

 

この時期に気をつけたいこと

 大切なのは、更年期をマイナスイメージでとらえないことです。これから迎える老後に向けて、ゆっくりと準備をするよい機会と考えてください。今後の病気予防を考え、今から健康づくりを始めれば、年をとっても元気でいられるのではないでしょうか。

 また、自分の身体の変化を知るのはもちろんですが、パートナーの身体についても関心をもってください。更年期のつらい症状も、パートナーの支えがあれば乗り越えやすくなるのです。相手の話をよく聞くことで、より深く理解し、共感することができます。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年4月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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