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−早期発見が鍵−膠原病(こうげんびょう)

 膠原病−−時おり耳にする言葉ですが、一体どのような病気なのか、意外と知られていないかもしれません。膠原病はある一つの病気をさすのではなく、共通する性質の病気の総称する言葉です。

 以前は難病というイメージがありましたが、近年は医療の進歩により、よい状態を保ちながら通常の生活をすることも可能になっています。

 

膠原病の特徴

 下の図のように、膠原病はさまざまな病気をさしますが、共通してみられる症状としては、関節の腫れやこわばり、痛みがあげられます。また、病気が進行すると、臓器にも障害が現われるようになります。  

 とはいえ、膠原病は臓器そのものに異常を生じる病気ではありません。細胞と細胞の間にある結合組織に異常が現われるのです。細胞どうしを結びつけているものを膠原繊維(コラーゲン)といい、これが膠原病の名のもとになっています。結合組織は全身に存在していますので、関節や臓器など、どこにでも症状が現われる可能性があるのです。

 では、なぜ膠原病が発症するのでしょうか。その原因は、免疫機能の異常にあります。人の身体には、異物である細菌やウイルスを排除する「免疫」という機能が備わっています。ところが、膠原病ではこの免疫機能に異常が起こり、自分の身体を異物として認識してしまって、排除しようとするのです。これを自己免疫反応といいます。

 

こんな初期症状に注意!

個々の病気によっても異なりますが、主な症状には次のようなものがあります。

○関節の腫れこわばり・痛み

○発熱

○疲労感が続く

○体重の減少

○筋力の低下・筋肉痛

○皮膚に紅斑や紫斑が現われる

○レイノー現象(寒さに当たると指先が白くなること)

 

 膠原病の初期症状はかぜの症状と似ており、生活にもさほど支障はありません。しかし進行すると、関節に変形が現われたり、臓器に障害が起こるなど、日常の生活に不自由を感じるようになっていきます。

 一度進んでしまった障害は元には戻らないため、病気を早期に発見して進行をくい止める必要があります。

 

悪化を防ぐ治療法

 治療の中心は薬物療法で、関節や臓器の障害を防ぐ目的で行なわれます。薬を用いて、身体におきている炎症を軽減させたり、自己免疫反応を抑えたりします。関節や臓器に重い障害を起こさないよう、早期から治療を始めることが大切です。  

 また、薬の服用と同時に、日常生活でも気をつけたいことがあります。まず、疲労をためないこと、とくに十分な睡眠時間を確保することが大切です。

 また、病状が安定しているときにはなるべく身体を動かしたり、運動療法としての体操をしたりして、筋肉や関節の機能を維持するようにします。

 身体、とくに関節を冷やさないようにすることも大切です。衣服や室温をこまめに調節し、入浴などで身体の保温を心がけます。

 また、治療中は感染症にかかりやすくなるため、うがいや手洗いを励行し、身体に傷ができないように気をつけることも必要です。

 

膠原病の初期症状はかぜや他の病気と似ている点が多く、症状だけで膠原病を診断することはできません。気になる症状があれば医師に相談し、血液検査などの検査を受けてくだざい。  

膠原病を早期に発見できれば、よい状態を保ちながらこれまで通りの生活をすることも可能なのです。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年4月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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