ホームクリニック

血圧の話

 「高血圧のせいか、最近、めまいがする」、あるいは「低血圧で、朝、起きるのがつらい」…『血圧』という言葉は、日常会話などでもよく使われています。さて、「実は、高血圧には自覚症状がない」と聞いたら、驚かれますか?今回のホームクリニックは、脳卒中や心筋梗塞などにも深いかかわりのある、「血圧」についてのお話です。


高血圧

 心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す圧力。これを血圧といいます。そして、血圧が基準値以上の状態が続く状態を高血圧、基準値以下の場合は低血圧となります。  

 低血圧は、一般的に重篤な病気に繋がることはほとんどありません。ごくまれに倦怠感や無気力、食欲の低下などを招くことがあり、おもに生活改善によって不快な症状を改善していくことになります。

 一方の高血圧はどうでしょう?頭痛、めまい、動悸、耳鳴りなどを、高血圧の症状ととらえている方もいますが、これらは必ずしも、高血圧によるとはいえません。むしろ、症状がないまま進行していくところに、高血圧の怖さがあります。

 高血圧で最も問題なのが、動脈硬化を引き起こすことです。動脈硬化とは、血管が弾力性を失ったり、血管の内腔が狭くなる状態をいいます。よく、古くなったゴムホースに例えられます。動脈硬化が進むと血管が破れやすくなり、「脳卒中」「心筋梗塞」などの心血管病を招く危険性が高まります。

 では、高血圧の原因は何でしょうか?実は、高血圧のほとんどは、「本態性高血圧症」とされています。この「本態性」というのは、疾患の原因が明らかではないという意味です。遺伝や環境による要因、食生活やストレスによる要因などさまざまなことが考えられます。高血圧の治療にあたっては、血圧を下げるための薬物療法のほかに、生活習慣の見直しが重要となってくるのです。

仮面高血圧

 血圧は、常に一定ではなく、1日のうちでも変動しています。起床する前後から、ゆっくりと上昇し、日中の活動時間に高くなって、夜寝ている間は下がっているという動きが通常のパターンです。  

 ところが、日中の血圧は正常範囲なのに、夜間や早朝といった時間帯に血圧が高くなっている人が数多くいることがわかってきました。また、時間帯というよりは、慢性的なストレスや疲労が原因で、職場など特定の条件下で高血圧になる人もいます。

 こうしたケースを、『仮面高血圧』とよんでいます。「仮面」という名称から、高血圧よりも軽く考えてしまいがちですが、例えば、1日の約3分の1にあたる夜間に血圧が高くなる方の場合、そのリスクは、決して軽視できません。高血圧の治療を受けずにいると、合併症の発生がこわいのです。

 仮面高血圧の発見には、家庭での血圧測定が必要です。現在、広く普及している「家庭用血圧計」を活用しましょう。

高血圧のリスクをチェック

 高血圧になる原因はさまざまですが、食生活においては、とくに塩分の摂り過ぎの影響が大きいといわれています。

 一般的には、高齢になるほど血圧が高めの人が増えていく傾向があります。ところが、食塩摂取量の非常に少ない民族では、高齢になっても高血圧の人がとても少ないという調査結果もあるのです。

 日本人の塩分摂取量は1日平均10gを超えています。厚生労働省では10g以下を目標としていますが、5〜7g程度が理想的です。

 食生活においては、醤油・味噌・食塩などを摂り過ぎないように意識しましょう。とくに、外食店のメニューや、インスタント食品、スナック菓子には、塩分が多く含まれる傾向があります。

 塩分だけでなく他にもある、高血圧の代表的なリスク例を下の図にまとめました。ぜひ、チェックしてください。チェックした数が多くなるほど、高血圧に対する注意が必要です。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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