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バイト言葉

 「一万円から、お預かりします」「お箸のほうは、お付けしますか?」「レシートのお返しになります」など、スーパーやコンビニエンスストア、あるいは、ファミリーレストランや外食チェーンなどで、ときおり耳にするこれらの言葉。どことなく不自然で、気持ちに引っかかるものを感じる……こうした言葉は、「バイト言葉」「バイト敬語」などとよばれています。  

 もともとは、敬語の使い方に不慣れな若者たちが、アルバイトを通じて接客業に従事したとき、できるだけ相手に丁寧な言い方をしようとして使い始めた言葉が普及していきました。こうした言葉が使われるときは、「心を込めて」というよりは、職務上便宜的に、比較的安易にといったケースが多いようです。そのためか、相手の表情や場面によっては、むしろ慇懃無礼と感じることもあるかと思います。こうしたことから、現在、「バイト言葉」を日本語の「乱れ」として、接客時には正しい敬語の使い方をするように教育する会社も増えてきました。言葉の「乱れ」に関する記述は、平安時代に清少納言によって書かれた『枕草子』にも残されています。

 言葉は、時代ととともに変化して行く性質を持っています。そこで、「バイト言葉」も使い方によっては、言葉の「乱れ」ではなく、言葉の「揺らぎ」として、受容していこうという動きも生まれてきています。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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