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骨粗しょう症を防ごう

  骨粗しょう症とは、老化や長年の生活習慣などに伴い、骨の量が減ってもろくなり、骨折しやすくなる病気です。昔からある病気ですが、寿命が延び高齢者社会を迎えたことで、近年、特に問題になっています。


骨粗しょう症ってどんな病気?

 骨粗しょう症は加齢(年を取ること)などにより、骨の量が減ってしまう病気。特に高齢者にとって骨粗しょう症が怖いのは、家のなかでつまずいて転ぶなど、ささいなきっかけから弱った骨を骨折してしまうことにより、要介護状態や寝たきりになってしまうことです。

 それが原因となって寿命そのものを短くしてしまうことも少なくありません。

骨組しょう症の主な症状には、

 ・背中や腰の痛み。

 ・骨折しやすくなる。

 ・加齢とともに背中が曲がる。

などがあげられます。

骨粗しょう症の原因を知ろう

 わたしたちの骨は、コラーゲンからなる骨基質に、カルシウムとリン酸の結晶(ミネラル)が沈着して形成されています。骨密度(単位面積当たりの骨量)は20歳前後でピークに達し、そののち40歳代半ばまではほぼ一定ですが、50歳前後から急速に低下していきます。

 骨をつくるのに必要なカルシウムは、腸から吸収されて骨に取り込まれますが、年を取ると腸からのカルシウム吸収が悪くなってしまいます。これも骨密度低下の原因の一つです。

 加齢のほかにも、運動不足、(栄養の)偏った食生活、過度のダイエットや喫煙、飲酒、日光に当たらない生活など、カルシウムの吸収や合成に悪影響を及ぼす行為はすべて、骨組しょう症の原因となり得ます。

 また、同じ高齢者でも、男性より女性の方が圧倒的に骨粗しょう症にかかりやすいと言われます。それは骨の形成に大きくかかわっている女性ホルモンの一種「エストロゲン」 の産出量が、閉経後はグンと低下してしまうため。その結果、ホルモンのバランスが崩れ、骨粗しょう症が引き起こされてしまいます。もともと女性のほうが骨量が少ないため、骨の形成・吸収バランスの崩れが表面化しやすいということもあります。

 こうしたことから男女にかかわらず、日頃から骨粗しょう症を防ぐための生活習慣・努力が必要になってくるということは、お分かりいただけるでしょう。特に生活習慣の悪化は、そのまま骨粗しょう症の原因となるため、普段から注意することが大切です。

骨粗しょう症が招く骨折以外の健康障害

 骨粗しょう症による健康障害は、骨折だけではありません。骨組しょう症の人はまた、動脈硬化になりやすいことも分かっています。

 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞といった心臓や血管の病気を発症することになります。これらの病気になると、寝たきりや要介護状態となるリスク、さらには命を失うリスクも高くなります。

 また、最近では若年層でも過度のダイエットなどによる栄養不足や運動不足、副腎ステロイド剤の影響などで骨組しょう症を発症する例が増えています。いかに普段の生活習慣が「骨」に与える影響が大きいかが、よく分かりますね。

骨粗しょう症を予防する

 体の中ではたえず古い骨は壊され(「骨吸収」という)、新しい骨がつくられています(「骨形成」という)。これが骨の新陳代謝です。ところが新陳代謝のバランスがくずれ、骨吸収のみがどんどん進んで骨形成が追いつかなくなると、骨の量が減ってスカスカになってしまいます。スカスカの骨はもろく、骨折しやすくなるのです。

 それでは、そんな怖い病気・骨組しょう症にならないためには、どのような生活がよいのか、それを考えていきましょう。

●食事……現代の日本人の食生活は、昔と比べてカルシウムが不足しているという調査結果があります。意識して牛乳や小魚などのカルシウム摂取を心がけましょう。(特に、おすすめしたい食品を右のイラストで紹介してみました。)

●塩分を控える……食生活で気をつけたいことに、塩分の過剰摂取もあります。塩分を摂りすぎると、せっかく摂ったカルシウムが尿に出てしまうので要注意です。カルシウムの吸収を阻害する栄養素には、シュウ酸やリン酸がありますが、普通の食生活ならば心配ないでしょう。ただし、リン酸は炭酸飲料やスナック菓子、インスタント食品などに多く含まれています。これらの食品の食べすぎには注意するようにしましょう。

●嗜好品……タバコは食欲を抑制し女性ホルモンの分泌を妨げるので、カルシウム摂取には悪影響があります。また、アルコールの利尿作用はカルシウムの排出につながるといわれています。

●運動……骨はある程度の負荷がかかることで強くなります。それでもいきなり激しい運動をしてはけがのもと。特に高齢の人は、まずは軽めのウォーキングなどから始めると無理がありません。

●日光浴……人間は日光に当たることで、皮下にカルシウム吸収に必要なビタミンDが形成されます昼間の30分ほど家の外にいるだけで十分。日光浴やウォーキングなどで陽の光を浴びましょう。仕事がデスクワークで昼間はオフィスに閉じこもっているという人も、昼休み、昼食後に軽い散歩をするなど、ぜひ、日光浴をする工夫を…。

 

 最近よく耳にする言葉に、WHO(世界保健機関)が提唱した新しい指標として「健康寿命」というものがあります。「寝たきりや認知症になることなく、健康で自立して暮らすことができる期間」をいいます。骨粗しょう症を遠ざけ、より長い健康寿命を獲得して(ださい。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年11月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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