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高すぎても低すぎても危険!!血糖値の話

 「血糖値が高いから糖尿病が心配……」「私、健康診断で血糖値が高いと言われちゃった」

 血糖値、気になる言葉ですね。今月はこの血糖値について考えてみましょう。


血糖値ってなんだろう?

 「血糖値」は、私たちの体内を流れる血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度のことです。血糖値は、高すぎても低すぎても、私たちの身体に様々な不具合をもたらします。

 私たちの身体には、血糖値を正常に保とうとする機能が備わっていて、血糖値を下げるためにはインスリン、上げるためにはアドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンといったホルモンが活躍します。

 私たちが栄養を吸収するのは食物からですが、欠かせない栄養のひとつに糖質があります。糖質は穀類、イモ類、果物や砂糖などから摂取され、体内に入るとグリコーゲンという多糖類になって、エネルギー源・滋養源として肝臓や筋肉に貯えられます。そこからブドウ糖に姿を変えて血液中に入り、全身の細胞に運ばれます。

血糖値が高いとどうなるの?

 食事の後など、食べ物の摂取後は、血糖値が上がります。すると、インスリンというホルモンが膵臓から分泌され、血糖値を下げるような仕組みになっています。

 このときインスリンの分泌が足りなかったり、あるいはしっかり機能しないと血糖値は高くなったまま! ということになってしまいます。

 血糖値が常に高い状態にあると、血液が濃くなり、脱水状態になるばかりでなく、糖尿病や心筋梗塞・肝硬変といった病気にかかりやすくなるというリスクが生じます。

 特に糖尿病は一度かかると完治が難しく、さらに高血糖が長期にわたり持続することで、いくつもの合併症を引き起こします。なかでもよくみられるものに、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病性神経障害があり、これらは糖尿病の三大合併症と呼ばれており、いずれも重大な障害をもたらします。

血糖値を下げれば糖尿病予防になる

 適正な血糖値は、空腹時60〜110r/dl、食後100〜140mg/dlと言われます。この値の範囲内ならば正常ということになります。

 そして、あなたが今、「血糖値が高め」という段階であるなら、生活習慣を改めることで、血糖値を下げることができます。それはそのまま国民病とまでいわれる糖尿病予防につながることになります。

 では「血糖値を下げるために生活習慣を改める」とは、具体的にどういったことを指して言うのでしようか?

 血糖値が高めの人の場合、まず食生活に注意して下さい。

 1日に必要なエネルギー量を知り、過食・偏食を避け、1日3食、規則正しく栄養バランスのよい食事を摂ることが基本となります。

 さらに運動も欠かせません。適度な運動をすることで、新陳代謝が高まり、血液循環がよくなりますから、血糖値を下げるには、たいへん効果があります。

 はじめから無理をせず、ウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動を、毎日続けることが効果的です。

 前述のように食後は血糖値が上がりますから、食後30分から1時間ほど休んだ後に運動するとよいでしょう。

適正エネルギー(kcal)=標準体重(kg)(※1)×25(※2)〜30(※3)(kcal)

(※1)標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

(※2)仕事が、デスクワークなど軽作業の人の場合は25を掛ける。

(※3)仕事が、肉体労働などの人の場合は30を掛ける。

<例>もしあなたが、身長170cmで、ほとんどコンピュータに向かう仕事なら……

まず、標準体重を求めます。→1.7×1.7×22=63.58 →約64(kg)

標準体重64×25=1600 1600(Kcal)が、あなたの1日の適正エネルギーということになります。

低血糖によるからだの不具合

 一方、低血糖とは血糖値が60r/dl以下の状態を言います。低血糖になるのは、食事の量が少ない、あるいは忙しくて決まった時間に食事が摂れない、空腹で激しい労働や運動を行なったときなど。

 症状としては、ボ〜ッとして集中力がなくなる、無気力になる、イライラして落ち着きがなくなる、などがあります。進行すると、頭痛や吐き気、めまい、冷や汗などの症状が現れ、さらに進むと昏睡状態に陥るなど、危険な状態になる場合もあります。

 こうした症状は人によって様々ですが、現代の子どもがキレやすいのは、低血糖症が原因とも言われています。甘いお菓子やスナック菓子、ジュース類や炭酸飲料などの摂り過ぎによるもののようです。食品だけみると高血糖になってしまいそうですが、糖質やカロリーの高い食べ物を摂り過ぎることで、またそうした生活が長く続くことにより、膵臓が疲れてしまい、過剰反応などの機能障害を起こしてしまうのです。少量のお菓子を食べただけなのに必要量以上のインスリンを分泌したり、必要がないのに出し続けたりして、常に血糖値が下がり過ぎた状態が続いてしまうことになります。これが低血糖症です。

    ◇    ◇

 このように血糖値は、高すぎても低すぎても私たちの身体に障害をもたらします。

 その予防の第一は、きちんとした食生活です。好きな物ばかりをたくさん食べる食生活は、病気になりやすい身体を作っているのと同じです。

 自分の身体をいたわる食生活と、適度な運動。これらを心がけて、適正な値の血糖値を維持できるように、しっかりとコントロールしていきましょう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年3月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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