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禁煙外来!医師の指導で、より確実に

 禁煙に成功するためには、「禁煙習慣を治療する」という発想が大切です。


 ニコチンと聞いて何を連想しますか?ニコチンは、「毒物及び劇物取締法」で毒物に指定されているアルカロイドの一種です。

 たばこにはその他にも、ホルムアルデヒド(接着剤・塗料などに使われる)や窒素酸化物(光化学スモッグ・酸性雨を引き起こし、体内では細胞を傷害する)など、様々な有害物質が含まれています。それでも、たばこを吸いますか?

 たばこが有害なことは分かっているのだけど……なかなか、止められない。その理由は、「ニコチン依存症」という"病気"にあります。そしてこの、ニコチン依存症の"治療"を目的に設置されているのが、『禁煙外来』です。

 2006年に健康保険が適用されるようになり、禁煙外来は一般にも知られるようになりました。とはいえ、なんとなく受診をためらっているという方もいらっしゃるようです。

 さて、禁煙外来では、どのような治療が行われているのでしょうか。

初診

 禁煙外来では、12週間、5回の診療が標準的なスケジュールとして組まれています。

 初回の診察では、受診者が健康保険の適用要件を満たしているか確認します。健康保険が適用される要件は次の4つです。

@ニコチン依存症を診断するスクリーニングテストの点数が5以上

A1日の平均喫煙本数×喫煙年数の数値が200以上

Bただちに(1か月以内が目安)、禁煙したいと考えている

C禁煙治療を受けることに文書で同意している

 この他には、呼気による一酸化炭素濃度の測定(喫煙量・状況を客観的に確認するための検査)や、禁煙補助薬の説明、禁煙への医師のアドバイスがあります。そして、相談のうえ、禁煙開始日を決定します。

再診

 初診から2週間後には、最初の再診が行なわれます。ここでは、禁煙状況の確認・検査、ニコチンの離脱症状に関する問診、禁煙補助薬の効果の検討などが行なわれます。

 そして、最初の再診から2週間後に2回目の再診。その4週間後に3回目、その4週間後には最終(4回目)の再診が行なわれます。ちなみに、この最終の禁煙治療を受けるまで治療に取り組んだ方の約半数は、禁煙治療から9か月後も禁煙に成功しています。

あきらめない

 ニコチン依存症の治療には、身体的依存と心理的依存の両面からアプローチしなければなりません。身体的依存には、ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙補助薬が有効です。しかし、ニコチンが体内から消えた後も、強い喫煙欲求が起こることがあります。このときに心理的依存が強いと、喫煙者としての自分を正当化する考えや、たばこに対する渇望が強く起こり、禁煙をあきらめてしまうことにつながります。

 こうしたときも、医師のアドバイスに、しっかり耳を傾けるようにしましょう。なぜ自分は禁煙したいのか、その理由を常に思い起こすことが大切です。

 過去に禁煙外来を受診したのだが、禁煙に失敗してしまったという場合はどうでしょうか?

 禁煙外来を受診して、「健康保険適用による薬が最初に処方された日から一年以上」が経過している場合、再度、健康保険適用での禁煙治療が受けられます。

 実際に、2回目、3回目の禁煙外来の受診で禁煙に成功したという方も少なくありません。「喫煙(ニコチン依存症)は心身に及んでいる病気である」という意識を強く持ち、医師の治療を受け、あきらめずに禁煙に取り組んで行きましょう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年4月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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