足の親指が付け根辺りから曲がって、曲がった部分は瘤のよう……「外反母趾」と呼ばれるこの状態は、一見すると骨が変形しているようにも見えます。しかし実際には、そのほとんどは、関節の靭帯が損傷することによる関節が曲がることにより起こっています。
女性の方が男性に比べて、関節が柔らかく変形しやすいため、外反母趾は女性に多く見られます。
ハイヒールが原因では?と思う方もいらっしゃいますが、ハイヒールを履いたことのない方にも外反母趾は起こっています。ただ、ハイヒールは元々、不自然な重心のかかり方を足に強いるため、症状を進行させる大きな要因となっています。
外反母趾の悩みは、足の痛みにあります。進行が重度になり、関節が脱臼して痛む場合もありますが、そのほとんどは、足の変型によって靴が当たり、擦れて炎症や潰瘍が起こることによって起こります。
外反母趾は、進行させないことが大切です。足に痛みがある状態で対策を取らずに放置すると、症状が悪化するだけでなく、痛みをかばうことから歩くときの姿勢に影響が及び、股関節など、他の部分を痛めることがあります。
外反母趾になる要因は、体質などを含め様々にありますが、最も問題視されているのは「足に合わない靴を履いている」ことです。
外反母趾になっている方の靴を調べてみると、本人は足に合っていると思っているのに、実際には、合っていないケースが多くみられます。
足に合った靴選びのポイントは、
@履いたときにぴったりしていると感じる靴は、歩いたときにきつく感じられることが多いので注意する(必ず歩いて確認)。
A足が靴のなかで前に滑らない。
B踵が抜けない。
C指が自由に動かせる程度の余裕がつま先にある。
など。
靴選びをする際に、一度は、シューフィッターと呼ばれる専門家に相談してみるのも良いでしょう。自分に合っている靴を履いたとき足にはどんな感覚があるか、改めて驚かれるかもしれません。
すでに外反母趾の症状がある方の場合、靴の選び方に重要なポイントがあります。
まず、外反母趾の状態がないと仮定して、足に合った靴を選ぶこと。そして、外反母趾によって曲がった関節やその腫れている部分に合わせて、シュースプレッダーやシューストレッチャーなどの器具を使って患部に当たらないように調整します。これは、症状に合わせて幅広の靴を選んでしまうと、靴のなかで足が遊ぶようになり、患部がより悪化する可能性があるからです。
足の親指と小指、それぞれの付け根から踵へ縦に結ぶ2本のアーチ。さらに、親指の付け根と小指の付け根を結ぶ横のアーチ、これら3つのアーチによって足は支えられています(右図参照)。外反母趾によって足が変形してくると、このアーチのバランスが崩れ足の弱い部分に不必要なカがかかり、歩くときに痛みが発生する原因となります。こうした場合、『足底板」を使用します。
足底板は、靴の中敷をイメージすると分かりやすいでしょう。ただし普通の中敷と違い足底板は、それぞれの方の足に合わせて作製されるため、非常に効果的です。足底板に関しては、健康保険も適用されます。整形外科を受診して、相談してください。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年6月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載