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自臭症をご存知ですか?

コンビニやドラッグストアでは、口臭・体臭対策用のガム、タブレット、スプレー、サプリメント、石鹸などが数多く売られています。室内や箪笥、トイレなど空間に対する臭い対策商品も多くあり、TVでもよく目にすることでしょう。社会の発展と共に、健康や清潔に関する意識が高まったのはよいことですが、その一方で残念なことに、臭いというデリケー卜な問題に対してやや過剰とも思える反応も一部に見られます。

興味深いデータがあります。むし歯や歯周病などの病気が口腔内にないにも関わらず、口臭を気にして歯科医院を訪れる方が近年増えているのです。こうした方は、『自臭症』を患っている可能性があります。


自臭症とは、原因となる疾患がないにもかかわらず、周りの人から嫌悪感をいだかれるほどの口臭や体臭を自分は発している、と思い悩んでしまう病気です。性格的には、繊細な人や凡帳面な人に多くみられます。また、自分の臭いに関して他の人から指摘されたことが、この病気のきっかけとなることも多いようです。

自臭症の真の原因は何でしょうか?実際には存在しない(あるいは気にする必要のない)口臭や体臭に悩まされるという意味で、ストレス、とくに対人関係のストレスを指摘する声もあります。

臭いに関する見方

口臭や体臭は誰にでもあるもので、完全になくすことはできません。口臭の場合は、むし歯や歯周病、舌苔などが原因になります。また、ストレスや緊張感が高まったとき、そして、起床時や空腹時といったときは唾液の分泌量が減り、一時的に、強く口臭を発することもあります。体調の悪いときや病気のときなどは、不調のサインとして口臭や体臭が強くなることもあるので、こうしたサインは見逃さないようにしましょう。その他として、喫煙を習慣にしている方や強い臭いが特徴となる食品を好む方は、習慣の改善で、口臭や体臭も改善されます。 慢性的な病気や生活習慣に原因がなければ、臭いの多くは一時的なものです。臭いに関して、バランスの取れた見方をするようにしましょう。臭いに敏感な人もいますが、一般的に多くの方は、他の人の臭いをそれほど気にしないものです。気になる場合でも、生理的な口臭や体臭ではなく、相手が使用している化粧品などの商品の匂い……というケースがばとんどではないでしょうか?

 

自臭症対策のポイント

臭いの悩みはとてもデリケートな問題です。他の問題と違い、身近な方には逆に相談しにくいという方もいらっしゃいます。  通常の社会生活に支障はないが、いつも自分の臭いが気になって不安という方は、客観的な事実を知ることによって精神的に解放されて自臭症が治ることが多いようです。

どうしても気になる場合、歯科医院を受診し、口腔内を調べてみましょう。歯科医院には、口臭の測定器なども設置されています。また、病医院で病気の有無を検査し、仮に病気がある場合、それらが体臭に関係しているかどうかをかかりつけ医に相談してみるのもよいでしょう。

手軽な方法としては、口臭・体臭をチェックする商品が比較的安価で市販されています。ただし、これらの結果を気にしすぎるのは問題です。あくまでも、病気との関係、また生活習慣との関係で判断しましょう。

客観的にみて口臭、体臭が問題ないレベルであることが分かっても不安から逃れられない、社会生活を送ることも困難であるという場合は、重度の自臭症を患っているケースが考えられます。自臭症には、臭いへの対策ではなく、精神的なケアが必要であることを認識してください。心療内科や精神科を受診されるとよいでしょう。 


 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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