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ワクチン接種の基礎知識

昔は「伝染病」と呼ばれていた「感染症」は、体内に入ったウイルスや細菌により発症しますが、その予防のためにワクチンがあります。ワクチンは、毒性をなくしたり弱めたりした病原体を、前もって体内に注入することで「抗体」をつくり、以後、特定の感染症にかかりにくくする、というものです。

ワクチンで感染症を予防する

ウイルスや細菌によって広がる「感染症」には、とてもたくさんの種類があります。そしてそれらの病気にかかり、今も世界中で多くの人が命を失っています。それでも「感染症」の中には、ワクチン接種で体内に抗体をつくることにより予防できるものも数多くあります。ワクチンで防げる病気は、表のようなものがあります。

これらの病気は、かかると治療が難しく、特に高齢者や子どもの場合、命に関わるものも多くあります。だからこそ、ワクチンがつくられたのです。ワクチンで防げる病気は予防しましょう。

ワクチンは副反応が怖い?

医療大国とよばれる日本ですが、ワクチン接種に関しては、この20年間に適切に対応せずに世界に遅れました。

ワクチンの摂取率の低さの理由については、表の疾患の怖さや重大さが、まだよく知られていないこと、他の国では接種できても日本ではまだ使用できないワクチンがあることなどでしょう。

日本で接種できるワクチンには、定期接種と任意接種があり、定められた期間内に接種する定期接種は、ほとんどのものが公費により無料で接種できます。現在、国が接種を勧めるワクチン(定期接種)の数は、8種類あります。ただし任意接種については、ほとんどの場合、全額自己負担となります。

ワクチンは接種したあとの副反応が心配という声を多く聞きます。実際には、接種した場所が赤くなったり腫れたり、また微熱がてるといった軽い副反応がほとんどです。

ワクチン接種に注意が必要な場合

ただし、ワクチン接種に注意が必要な場合もあります。ワクチンの成分(例えば、卵)に対して極めて強いアレルギーがある場合です。この場合は、そのワクチンの接種はできません。接種を受けるとアナフィラキシーショックを起こす危険性が高いのです。重症のアレルギー体質がある人は、主治医と相談するようにしてください。

といっても「アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・じんましん」であれば、接種不適当者というわけではありません。予防接種の接種液の成分に対してアレルギーがある場合のみ、予防接種要注意者となります。

また、先天性免疫不全症といって、生まれつき免疫が極めて弱い人や、がん治療などで免疫を抑える薬を使用している人、さらに特別な病気のある場合も、主治医と相談してください。

これらの場合を除けば、安心して予防接種を受けることができます。

最近は冬場の流行の備え、インフルエンザのワクチン接種が話題になります。

また、新生児も何種類かの予防接種をします。

免疫力・抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などには、あらかじめの予防接種が特に効果的なのです。

ワクチン接種で感染症予防に努めましょう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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