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胃のSOSを見逃さないで!

やっと暑い夏が去り、涼しい気候になって、さあ「食欲の秋」だということになりましたが、そんなこの時季、なんだか胃の調子が悪い、食欲が湧かないという人が増えているようです。どうしたのでしょう?

胃の具合が悪ければ身体に栄養を送れない

最近は猛暑の夏が続き、熱中症予防のためもあって、どうしても冷たいものを摂ってしまうことから、秋口になると、胃の疲れがで始めます。

また、涼しくなって一気に食欲が増し、夏の間にグッと落ちてしまった体力を回復するぞと、ガンガン食べることが、もともと夏バテ気味の体に余計な負担をかけてしまうことになります。

ここで、胃の働きについて考えてみましょう。

胃は、食道を通って入ってきた食べ物を、波打つように動いて消化し、腸へと送りだします。

このとき胃液が分泌され、胃液に含まれる胃酸によって食べ物は、栄養が吸収されやすいように溶かされます。

「食」は健康の源ですから、胃が不調では弱った身体に栄養を送ることも難しくなってしまいます。

胃の健康を守るためには暴飲暴食を避け、不規則な食生活を改善する必要があります。

食生活を含めた日頃の生活習慣をきちんとすることで、健康な胃を守ることができるのです。

胃が発信するSOSとは?

では、不調に陥ったとき、胃は、どのようなSOSを送ってくるのでしょう?おもなものに、次のような症状があります。

@胃がムカムカして重苦しい

A食欲がなくなる

Bゲップがでる

C吐き気・おう吐

D胃がキリキリと痛む

これらが機能低下のサインです。

胃の場合は、「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓などと違って、比較的気づきやすいSOSを発します。

食べすぎ・飲みすぎのあと、こうした症状を経験したことのある人は多いでしょう。

それでも「ああ、またか」と市販の胃薬を飲んで、その場をしのいでしまうことが多いのではありませんか?

しかしこうした症状を何度もくり返していると、胃から出血したり胃に穴があいてしまうなど、重い症状に進行してしまう場合もあります。

胃がSOSを発信する原因は?

それでは胃の発信するSOSの原因には、どんなものがあるのでしょうか?

@消化不良=飲みすぎ、食べすぎ

A胃酸過多=生活習慣の乱れ

B刺激物の握り過ぎ

Cストレス

Dタバコ などが、胃の不調の原因となります。

@の消化不良はまず、飲みすぎ、食べすぎ、そして食生活の乱れがもとになり、胃が疲れてしまったサインです。四六時中食べていたりすると胃が休まるときがありません。

Aの胃酸過多は、長時間空腹の状態が続いたり、早食いなどが原因となります。

また、空腹時に刺激物、コーヒーやお酒をガブガブ飲むなども胃酸過多の原因となり、さすがに丈夫な胃壁も悲鳴を上げることになります。さらに薬で胃を荒らすことも考えられます。必ずコップ一杯の水で飲むなど、薬は指示を守って服用しましょう。

ほかに不規則な生活も、胃酸過多の原因となり得ます。生活習慣の乱れを改める努力をしましょう。また、Cのストレスについてですが、人間関係などを含む職場や学校生活での悩みなどのストレスが原因と思われる場合も、胃が荒れているなどの症状が見られた場合、器質的疾患の治療が第一です。かかりつけ医の診察を受けることをお勧めします。

「なんとなく」を見逃さない

こうして胃が荒れた状態が続くと、前述のように急性胃炎や胃・十二指腸潰瘍を起こすことにもなります。急性胃炎になってからも胃を荒らす刺激が続くと慢性胃炎になってしまうこともあります。

せっかく胃が送ってくれたSOS信号なのに、時間がたてば治るだろうとか、なかなかよくならないのに市販の胃薬を飲み続けるだけ、というのは症状の悪化につながることにもなりかねません。

「何となく調子が悪い」という程度でも、症状が長引くときは、かかりつけ医に相談して、指示に従って適切な治療を受けましょう。胃からのSOSには、できるだけ早く根本的な改善に努めるべきです。

もちろん一番よいことは、胃が悲鳴を上げないようにすること。そのためにも暴飲暴食を避け、ストレスを上手に発散するなど、SOSのもとになる原因を回避するよう気をつけて、日々、過ごすようにしましよう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年11月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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