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ラップ療法

「食品の保存に使用するラップを患部に巻くだけで、熱傷や床ずれが治る」――こうした情報がインターネットやテレビで広まりました。このラップ療法を家庭で行なった結果、一部で、非常に重篤な感染症の発症や四肢の切断といった事態が起きていることがわかってきました。

ラップ療法はもともと、湿潤療法に使用する医療用シートを食品用ラップで代用したことから始まりました。

傷の手当は、傷口から細菌が体内に侵入するのを防ぐために、患部を消毒し乾燥させることが基本です。湿潤療法は、これとは逆の方法をとります。消毒薬を使わず、患部の乾燥も行ないません、このため、湿潤療法には、まず患部が感染症に罹っていないか的確な判断が求められます。ラップ療法というと手軽なイメージがありますが、これを行なうには細心の注意が必要なのです。

ラップ療法に限らず、インターネットやテレビの情報番組で取り上げられる治療法や健康法は、手軽にできて効果が高いと強調される傾向があります。こうした情報のなかから信頼のできる情報を見極めるには、どうしたらよいでしょうか?

最善の方法は、かかりつけ医をもつことです。そして、実際はどうなのか、相談してください。医療における科学的な根拠のある情報のことを「エビデンス」とよびます。疑問に感じる情報を、安易に試すことは止めましょう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2013年1月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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