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脂肪肝に要注意!

日本人(成人)の3人に1人が、潜在的に脂肪肝を抱えているという調査があります。しかし、脂肪肝には自覚症状がほとんどないため、多くの人が見逃しがち。脂肪肝の状態で肝臓が炎症を起こす(脂肪肝炎)と、肝硬変や肝がんに進行するおそれもあります。けっして、軽視することはできません。

脂肪肝とアルコール

肝臓は、500種類もの化学反応を短時間で行なう臓器で、その働きは多岐にわたっています。アルコールの分解もその一つです。アルコールは肝臓で分解・吸収され、中性脂肪などに変えられて、エネルギー源として身体の各細胞に送られます。そして、不要なアルコールは、炭酸ガスと水になって体外に排出されます。

肝臓がこうした働きを正常に行なえる範囲のアルコール量は、個人差はありますが、アルコールの種類に関係なく、男性で1日40g(日本酒で換算すると約2合)、女性の場合は1日20g(日本酒で換算すると約1合)とされています。肝臓が1時間に処理できるアルコール量は、一般的に日本酒約4分の1合。毎日4合のお酒を飲むと仮定して計算すると、実に16時間も肝臓はアルコールを処理し続けていることになります。この状態が続けば、肝臓に異常が起きても不思議はありません。

アルコールの摂取量が普段から多く、休肝日をとることなく飲酒している人は、必ず健康診断を受けるようにしましょう。そして、γ-GTP値に注意してください。飲酒が原因となっている肝脂肪の初期段階では、禁酒や普段の食事に気をつけるだけで、肝臓を正常に戻すことができます。過ぎた量の飲酒を避け、週に2日は休肝日をもうけましょう。つまみは低カロリーなものにしてください。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH-ナッシュ)

脂肪肝というと「習慣的に大量の飲酒をする男性の病気」というイメージがありますが、最近では、お酒をあまり飲まない女性にも脂肪肝が増えています。実のところ、アルコールが原因ではなく脂肪肝・脂肪肝炎を発症する患者数は、アルコールが原因で発症した患者数の約10倍にものぼっているのです。

アルコールが原因ではなく、脂肪肝から脂肪肝炎に進行した場合を、非アルコール性脂肪肝炎(NASH-ナッシュ)とよんでいます。

この、非アルコール性脂肪肝の原因は何でしょうか?

それは、肥満や運動不足、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった、いわゆるメタボリックシンドロームと密接な関係のある要因です。

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち二つ以上を合併した状態のことをいいます。内臓脂肪からは、肝臓に炎症を起こす物質が分泌されることがわかっています。

「お酒は飲まないから、肝臓は健康」とは必ずしもいえません。メタボリックシンドロームの診断基準を参考に、非アルコール性脂肪肝炎の危険性がある場合は、生活習慣の改善に取り組みましょう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2013年2月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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