脂質異常症は、以前は高脂血症とよばれていた病気です。血液中の脂質が増えすぎ、動脈硬化を起こしやすくなることで、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。よく言われる「血液がドロドロの状態」、それが脂質異常症といえます。
脂質異常症とは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪が増えすぎてしまう病気です。肪とはつまり脂分のこと。
ではどんな症状が出るのかというと、熱が出るとか痛いといった表立った症状はありません。そこでつい放置してしまうことが多いのです。
すると増えた脂質が血管の内側にたまり、動脈硬化になってしまいます。動脈硬化になってもまだ自覚症状はなく、心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こしたところで、やっと脂質異常症の重大さを知ることになるわけです。こうしたことは、血液検査でもわかります。
血液中には4種類の脂質がありますが、そのうちで多すぎると問題なのは、コレステロールと中性脂肪です。脂質異常症には、
@LDL (悪玉) コレステロールが多いタイプ=(高LDLコレステロール血症)
AHDL (善玉) コレステロールが低いタイプ=(低HDLコレステロール血症)
Bトリグリセライド(中性脂肪)が多いタイプ=(高トリグリセライド血症)
の3タイプがあります。
脂質異常症の最も多い原因は、「高カロリー・高脂肪の食事」と「運動不足」であり、事実、「脂質異常症の8割は生活習慣病」といわれています。まず必要なのは食事面でのコントロールです。脂質異常症は遺伝的な素因に加えて、高脂肪の食事や過食、運動不足といった悪い生活習慣や肥満が原因であり、さらに悪化させるものです。
すっかり欧米化して肉食中心になってしまった現代日本人の食事は、肉食中心の高カロリー、高コレステロール化しており、エネルギー過多になりがち。さらに駅にはエスカレーターなど生活が便利になったこともあり、現代人は運動不足気味です。
こうした生活習慣は脂質異常症の大きな原因と考えられ、そのまま近年におけるメタポリックシンドロームの原因とも言われています。メタボは脂質異常症のほか、糖尿病、高血圧症など複数の生活習慣病を併発した状態で、さらなる様々な病気のリスクを高めます。
生活習慣を改めて、脂質異常症を防ぎましょう。それはメタボ予防にもなります。
そこで食生活でのアドバイスと、運動のコツをご紹介します。
ぜひ実践して、脂質異常症対策に役立ててください。根気よく自己管理を続けることが何より大切です。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2013年7月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載