見逃さないで
腎臓の病気
 
“肝腎のかなめ”と言われるほど重要な臓器である腎臓は、肝臓と並んで“沈黙の臓器”とも言われています。つまり、自覚症状が乏しく薬物療法も難しいためです。ですから悪化した腎疾患の治療は困難です。でも、異常を早期発見して進行を食い止めれば、病気と仲良く付き合っていくことも可能なのです。
自覚症状が乏しい 早期発見で進行止める
◆腎臓の仕組みと働き
 腎臓は腰の高さの背中側にあって、左右一対を成すソラマメ型の臓器です。大きさは大人の握りこぶし程度で重さは150g弱です。その働きは主に3つあります。

@尿をつくる=腎臓にはそれぞれ約100万個の糸球体(しきゅうたい)という濾過装置があり、血液中の不要物を濾過して尿のもと(原尿)をつくります。また尿量やナトリウム、カリウムなど電解質の排泄量を調節して体液の濃度を一定に保つ働きもあります。

A血液をつくる=エリスロポエチンというホルモンを分泌し赤血球の合成を促進させます。

B血圧の調節=血圧を上げる作用があるレニンなどのホルモンを分泌します。
 
◆健康診断で分かること
 会社や地域で行う健康診断では必ず「尿検査」を行います。これで微量の血液やタンパク質、糖などが含まれていないか、を調べることが出来ます。検査の結果「血尿」や「タンパク尿」では腎炎など腎臓の機能低下が、また「尿糖」では糖尿病が疑われます。さらに血液検査の項目のうち、「クレアチン」や「尿素窒素」も糸球体の濾過機能を知る目安となります。1項目でも異常が出たら、すぐ医師に相談しましょう。
 医療機関では、より詳しく調べるため、尿を細菌培養したり遠心分離機にかけて沈殿物を調べたり、腎臓の超音波検査(エコー)、造影剤を動脈注射して行うX線検査、CT、MRIなどが行われます。また薬品を使って尿の濃縮機能を調べるほか、場合によっては針で腎臓の組織の一部を採取してしらべる腎生検が行われることもあります。最近では糖尿病性腎症の早期発見に尿中のアルブミンの有無を調べる微量アルブミン尿検査が有効、とされています。
 
◆腎疾患の分類
 腎疾患は@腎臓自体に異常が発生したもの=急性腎炎、慢性腎炎、腎臓がん、腎結石などA別な持病があって二次的に腎機能が低下するもの=糖尿病性腎症、痛風腎、高血圧による腎硬化症、膠原病によるループス腎炎など、に分けられます。急性腎炎は子供に多く見られ、病因は溶連菌による感染症です。慢性腎炎はたんぱく尿や血尿が1年以上続く状態をいいます。糖尿病性腎症、腎硬化症、痛風腎などは生活習慣病が基礎になって腎臓にダメージが及んだものです。

◇腎不全=慢性腎炎も生活習慣病による腎疾患も、進行すれば次第に腎機能を低下させます。健康な時の30%程度まで低下した状態を腎不全といい、さらに尿量が減少して血液中に老廃物が溜まり尿毒症という状態に陥ると、非常に危険な状態になります。これを防ぐのが人工透析です。
 
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