怖いサルモネラ菌 夏は腸炎ビブリオ対策を
 
 初夏から秋にかけては食中毒が発生し易い要注意期間です。気温や湿度が高くなってカビや細菌が繁殖し易いためです。特に食中毒の多くは、細菌が原因になって起こる「細菌性食中毒」です。そこで、今回は食中毒の元凶となる細菌について特集してみました。
 
 細菌性食中毒は、
@飲食物に付いた細菌が腸の中で増殖して中毒症状を起こすタイプ(サルモネラ菌、腸炎ビブ
  リオ菌など)
A飲食物の中で細菌が作りだした毒素によって中毒症状を起こすタイプ(ボツリヌス菌、黄色
  ブドウ球菌など)
の2つに大別されます。
サルモネラ菌
 卵の殻や卵の中にいることもある食中毒菌です。重症化しやすく、人が死亡した例もあるので、特に子供・高齢者・病気中の方には気をつけることです。原因食品は卵(ティラミス、自家製マヨネーズ、卵豆腐)肉、淡水魚、二次汚染された食品。症状は下痢・腹痛・発熱・頭痛・吐き気・嘔吐で、発症まで5〜72時間(発症のピークは8〜24時間)。
 予防のポイント
@卵は他の食品と区別し冷蔵庫に保管
A調理は75℃以上で1分以上の加熱
B卵は割り置いておかない
C卵料理で使った器具は消毒
腸炎ビブリオ
 海水温度の上昇に伴いこの菌は増え、猛暑の時期には増殖がさらに速くなります。水産物、特に鮮魚や天然岩かきなどが、この菌の対象食品です。
 食中毒防止策
@海産魚介類を真水(水道水)で良く洗う
A4℃以下の温度で保存する
B魚介類用の器具は専用にして十分に洗浄・消毒を
Cとにかく魚介は早く食べること。夏期に室温で5時間以上放置するのは危険
黄色ブドウ球菌
 この菌が切り傷や手荒れ部分に存在していることは良く知られています。健康でも毛髪・皮膚・鼻腔・ノドなどに付着しています。調理中は顔や髪に触れないようにしましょう。原因食品はおにぎり、仕出し弁当や生菓子類。菌の特徴は、菌が増殖する際に毒素を生産し、食中毒の原因になります。菌そのものは熱に弱いが、毒素は熱に強い。症状は吐き気・嘔吐・下痢・腹痛で発症までの時間は1〜5時間、発症のピークは6〜12時間。手指に傷や化膿創がある人の調理は禁物です。
ウェルシュ菌
 普段は熱に強い芽胞というカプセル状の状態で存在しており、酸素の無いところで増殖する特徴があります。大鍋で前日に調理し一晩室温で放冷した食品で食中毒事件が多く見られます。原因食品は肉・魚介類・野菜の煮物、これらを使った弁当、仕出し。一度に大量に調理した料理(給食・カレーなど)。菌の特徴は人や動物の腸管内や土壌などに常在。大量に調理された食品中の酸素が少ない状態で菌が増える(嫌気性)。症状は腹痛・下痢で発症まで6〜18時間、発症のピークは6〜12時間。
その他
 O-157で知られる「病原大腸菌」、冬に起きる「ノロウィルス」、学校給食での食中毒原因となった「エルシニア」、生肉で中毒する「カンピロバクター」などもあります。
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