熱中症
正しく理解しておくために
熱射病は必ず受診を 梅雨明け直後などに多い  
 
 いよいよ夏。高温多湿の日本の夏は熱中症が起こりやすい環境にある、と言えます。毎年死亡事故が起きている割に、その危険性が広く知られていないせいでしょう。スポーツだけでなく、いろんな条件で起こりうる熱中症を正しく理解しておきましょう。
 
◎熱中症ってなに?
 人間は暑さを感じたとき、主に汗をかいて熱を体外に放出することで体温を調節します。でも、すごく高温だったり、激しい運動・労働で体温が上昇し、体外に熱を放出しきれなくなると、身体のなかに熱が溜め込まれてしまいます。この結果、起こる様々な病態を総称して「熱中症」といいます。その症状は軽度から重度までありますが、病態の度合いから主に「熱痙攣(けいれん)」「熱疲労」「熱射病」の3つに分けられ、さらに「日射病」もあります。

◎起こりやすい条件
 熱中症は運動・労働時に起こるとは限りません。車内など狭い空間で気温・湿度が高い状態でも発症します。特に湿度が高いと起こりやすくなります。
 さらに起きる条件として
@前日に比べ気温が急に上がった時
A梅雨明けしたばかりの時
Bアスファルトなど人工的な舗装がされている場所
C休み明け、または連日激しい運動が続いている時

などが挙げられます。一度、熱中症にかかった人は連続して起こりやすい傾向があり、
特に要注意は
@乳幼児・高齢者
A下痢・発熱など体調不良の人
B寝不足・疲労している人
C肥満の人

です。
 熱射病を起こした場合は応急処置でいったん回復したようでも、必ず医師の診断を受けてください。熱中症の種類と症状は別表の通りです。


☆熱中症の種類と症状
  原  因 症  状
日射病 炎天下で長時間直射日光を受けたり、大量の発汗によって脱水状態になり、一時的に循環血液量が不足して起こる。 めまい・顔面蒼白・一過性の失神
熱痙攣 高温下で激しい労働や運動をしたときに、大量の汗をかいたうえ、塩分補給をしないで水分だけを補給していると起こりやすい。 酷使した筋肉に痛みを伴った痙攣
熱疲労 高温下での運動時に、大量の発汗によって起こる。脱水とともに体内に熱がこもるのが原因。水分補給をしないでいても起こる。熱射病の前段階ともいえ、すぐに医師の診察が必要。 強い口の渇き・倦怠感・強い疲労感・頭痛・めまい・興奮・高体温・昏睡
熱射病 熱疲労が重症化し、異常に体温が上昇する。発汗が止まり皮膚は乾燥する。体内で血液が凝固し、全身の臓器に障害が起こる。死に至ることもある危険な状態。 40℃以上の高体温・発汗停止・頻脈・血圧上昇・中枢神経障害・多臓器不全・昏睡


◎熱中症になったら
@風通しのよい日陰など涼しい場所で安静にさせる。冷房の部屋も効果的です。
A意識がハッキリしていれば水分補給する。スポーツドリンクなど塩分を含むものがよいです。
B衣服をゆるめ、足を少し高くして寝かせる。
C体温が非常に高い時は、出来るだけ冷やす。
D意識がなかったり、おかしかったりしたら、速やかに救急車を呼びましょう。
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