筋肉の異常収縮
ジストニアに新しい治療法
当院では渡邉理事長が外来で
 筋肉の異常収縮で全身や体の一部が不規則にねじれたりする「ジストニア」という病気について新しい治療法が行われている、というニュースがさる4月1日付けの福島民報紙に掲載されましたので、紹介します。この症状・新治療法に関しては、総合南東北病院の渡邉一夫理事長による外来が月曜・水曜の午前中に行われていますので、ご相談ください。
電気刺激で改善に光
10万人に15人の割合で発症
 新しい治療を行っているのは東京女子医大(東京都新宿区)などが進めているもので、脳内に入れた電極からの刺激で病状を改善させよう、という方法です。症状を引き起す脳神経ネットワークの乱れが電気刺激で調えられるものとみられ、患者さんの4人に1人が顕著に改善しています。岐阜市に住む40歳代の男性会社員は約8年前に発症しました。「顔がゆがみ、ちゃんとしゃべれないので人とコミュニケーションが取れないのがつらい」 と病院を転々とし、今年3月に東京女子医大で手術を受けたところ翌日には首のつっぱりがとれたといいます。
 ジストニアは脳の特定部位に機能異常が生じ、筋肉が意思に反して収縮して起きると考えられています。首が反り返ったり、顔の表情がゆがんだりする動作性のものと、肩が上がる、首がねじれるといった姿勢が続く静止性のものと大きく2つのタイプがあります。女子医大脳神経外科の落合卓助手は「幼少期に発症することが多い遺伝性のものを含め、発症年齢は小児から老年までさまざま。食べ物が飲み込めない、呼吸筋が弱るなどして、死亡することもあります」と説明しています。国内の有病率は10万人当たり15人前後。ボツリヌス毒素を使って筋肉の緊張を緩和する治療や、薬物療法も実施されています。電気刺激を与える 「脳深部刺激療法」はパーキンソン病でジストニアに似た症状の患者に効果があると90年代に報告され、ジストニアでも本格的に始まりました。
 女子医大では頭に一円玉ぐらいの穴を2カ所開け、直径1ミリ余りの電極が先端に付いたシリコン製の細長い棒2本を脳表面から約7・5センチの深さまで入れます。平孝臣同大講師(総合南東北病院「てんかん・パーキンソン病・ふるえの外科的治療外来」担当)は「ジストニア患者では脳で運動の働きを調整する部位の調子が乱れているが、1秒間に200回近い電気刺激を与えることでリズムが取れるようになります」と語っています。手術後は数週間の試験刺激期間を設け、効果が望める人にだけバッテリーを左右の胸に埋め込み、皮下にコードを通して電極と接続する手術をします。入院期間はトータルで1〜2カ月。電気刺激は常時続けるため、バッテリーは平均約3年で交換が必要とされます。
 2002年から06年の間に同大で手術を受けた70歳〜81歳の男女41人のうち「寝たきりだったが歩けるようになった」など症状がほとんど残らない「顕著な改善」は10人、4〜8割良くなった「中程度」は20人、「低い改善」は効き目が無かった1人を含11人でした。
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