血液の病気を知ろう(2)
全身をくまなく巡っている血液は血球(赤血球、白血球、血小板)と血漿(液体部分)から成っています。この血液のうち、今回は白血球の病気について、です。
〔白血球とその異常〕
 白血球には有毒な細菌などから身体を守る働きがあります。血管内を自由に動き回り、ときには血管外にも出て活動します。この白血球にも幾つかの種類がありますが、全体の約半数を占めているのが「好中球」で、細菌やウイルスを取り込んで死滅させる働きがあります。「リンパ球」は外部から侵入してきた細菌などを識別して抗体を生産します。また一度侵入してきた細菌や毒素の性質を記憶する免疫という働きも担っています。
 この白血球が極端に減少すると身体の抵抗力が弱くなり、発熱、口内炎や潰瘍、感染症などが現れます。重症になると生命に危険が及ぶ重大な感染を起こすこともあり、早急な対策が肝要です。この原因として多いのは抗ガン剤などの副作用です。このほか重症の免疫不全状態もあります。逆に白血球の数が増えるのは炎症や傷がある場合です。いわば身体の正常な防衛反応なのです。しかし、異常な白血球の増加がある場合は白血病などが原因となっている可能性があります。
 血液のがんは、骨髄にある血球を作る造血幹細胞に異常を来す病気です。その一つである白血病は異常な白血球が無制限に増えて、正常な血液成分をつくることが出来なくなる病気です。また、悪性リンパ腫はリンパ節やリンパ組織ががん化する病気です。これらの治療の基本は、抗ガン剤を使った化学療法です。最近は診断・治療の技術が向上し、病気が細かく分類され、それぞれに適した治療法が選ばれており、治療成績が上がっています。
 骨髄移植は病変を起こした細胞を死滅させたあとに正常な造血幹細胞を点滴で身体に入れる方法です。最近は背骨から採取した骨髄液の代わりに、末梢血(普通の血)や臍帯血を用いる方法が広がりつつあります。がん治癒に有効ですが、実施には様々な条件や合併症・免疫反応などの大きな問題もあります。
【リンパ系とは】
リンパ系は身体の防衛反応をつかさどっています。リンパ管は血管のように全身に張りめぐらされており、リンパ管の所々に大豆ほどの大きさのリンパ節があります。扁桃や脾臓はリンパ系の組織です。強い感染や炎症が起きたときにリンパ節が腫れるのは白血球が病原菌と激しく戦っているためです。
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