“治る肝臓病 脂肪肝”

脂肪肝の原因は過剰な栄養
食べ過ぎず、運動すれば解消
“肝臓の現代病”と言われる「脂肪肝」は酒をよく飲む人や肥満・糖尿病における過剰栄養で簡単に起こります。ウイルス性の肝臓病と違って、慢性化することはないものの、これは生活習慣病の前ぶれでもあるのです。食生活の改善や運動によって、早めに改善することが重要です。
◎健康診断の2割に見つかる
 会社などでの健康診断では約2割の人に脂肪肝が見つかる、と言われます。男性では40歳前後、女性ではそれ以上の中高年者に多くみられ、しかも増える傾向にあります。通常、肝臓は健康な時でも3%から5%の脂肪を含んでいるものですが、いろんな原因で肝細胞に中性脂肪が必要以上に貯まると脂肪肝になります。ウイルス性の肝臓病などと違って、これ自体で肝臓の働きが著しく低下したり慢性化したりすることはありませんが、見逃すと大きな病気に繋がります。
  
◎何故なるの?
 肝臓の働きは大きく分けて「解毒」「分泌」「代謝」の3つの機能があります。「解毒」はアルコールやアンモニアなど有害物質を分解し無毒化する働きです。「分泌」は腸で消化液となる胆汁を作る働き、「代謝」は腸から吸収された栄養を体内で利用出来る形に作り変える働きですが、これらが脂肪肝に大きく関わってくるのです。
 食物として摂取されたバターや肉類の脂質は小腸で分解され肝臓へ運ばれていきます。ここでコレステロール、リン質、中性脂肪といった様々な脂肪に合成されて身体の各細胞へ運び出されていきます。しかし、過食や大量の飲酒などで中性脂肪が多く作られると、肝臓の外に運び出す能力が落ちて、肝臓内に脂肪が溜まって脂肪肝が起きるのです。肝臓に中性脂肪が蓄積されている、ということは血液中の脂質も高くなり動脈硬化や狭心症などに繋がります。
 
◎カロリーの摂り過ぎに注意
 日本酒にして2.2合を毎日飲み続ければ4週間ほどで脂肪肝になる、と言われます。何年も飲み続ければ肝臓の組織そのものが傷つき肝線維症、アルコール性肝炎、果ては肝硬変へと移行してしまいますから注意が必要です。酒やバター、肉類だけでなく、肝心なのは実はご飯やケーキ、和菓子に含まれる糖質なども中性脂肪の元なのです。糖質は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられ、必要に応じてエネルギー源として使われますが、栄養の摂り過ぎで余ると、肝臓は中性脂肪に変えて蓄えるのです。
 
◎検査と治療
 血液検査で肝機能に異常が見られれば超音波検査やCTスキャン、肝生検などを行います。治療は「食べ過ぎない」「運動で身体を動かす」「肥満を避けて減量を」に尽きます。脂肪肝は努力次第で簡単に治り、慢性化することもほとんどありません。放置しないで生活習慣を改める努力を忘れずに。
 
〔脂肪肝と慢性肝炎〕
 太った人の脂肪肝では血中のGPT(肝細胞に含まれる酵素)が長い間、高値を示すため、慢性肝炎と間違われることがあります。でも、慢性肝炎は本来ウイルスなどによって起きることが多く、栄養摂取と安静が原則です。脂肪肝では運動と食事制限が必要ですから、治療法は正反対になります。脂肪肝か慢性肝炎か、の診断は超音波や肝生検で出来ます。
 
●血液検査
検 査 正 常 値 脂肪肝では?
GOT 10〜40IU/l 軽度上昇。過栄養ではGPT>GOT
GPT 5〜35IU/l アルコール性の場合はGOT>GPT
γ-GPT 50IU/l以下 アルコール性では高くなる
コリンエステラーゼ 186〜190IU/l 過栄養で上昇する
総コレステロール 120〜220mg/dl 高くなる
中性脂肪 50〜150mg/dl 高くなる
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