歩くと痛む”足梗塞”

動脈硬化測定器で診断を
【毎日新聞の記事から】
 「じっとしていると、なんともないのに、動くと痛くて痛くて」という症状は閉塞性動脈硬化症を疑ってみる必要がありそうです。重症化すると壊死にまで至る恐い病気だからです。4月8日の毎日新聞に掲載された「くらしナビ」を再録してみます。
 閉塞性動脈硬化症は足の血管(動脈)にコレステロールなどが付着して狭くなり、血管が塞がれてしまう病気です。65歳以上の高齢者の5%程度がかかっている、とされます。心臓で動脈硬化が起こって冠動脈が詰まると心筋梗塞になり、脳の血管が詰まれば脳梗塞となります。これと同じメカニズムであるため「足梗塞」と例えられることもあります。    
 
★見逃されやすい
 足の血管が詰まると、最初は足の冷えやしびれが起き、また何も感じない人もいます。閉塞性動脈硬化症の特徴は「歩くと痛くなり、休むと痛みが無くなる」ことです。歩くと足の筋肉は通常より多くの酸素が必要となりますが、血管が詰まれば酸素が十分に届かないために痛みが起きるのです。普通はふくらはぎが痛むため、筋肉などの病気、と思われがちです。中には整形外科を3、4ヵ所を回って来る人もいます。見逃されやすい病気のようです。  
 これと紛らわしい病気に、加齢などで背骨の脊柱管が狭くなって神経が圧迫される「脊柱管狭窄症」があります。やはり歩くと足が痛みますが、背筋を伸ばすと痛みが増したり、姿勢を前かがみにすると楽になる、といった違いがあります。通常、足の血圧は手の血圧より1割程度高いのですが、閉塞性動脈硬化症の場合は足の血圧が低い傾向があります。両手両足の4ヵ所の血圧を同時に測定出来る「動脈硬化測定器」が総合南東北病院にありますので、測定するとよいでしょう。
 この病気は進行すると動かなくても足が痛むようになり、重症になると、潰瘍ができたり壊死したりすることもあります。靴ずれなどの軽い傷も血流が悪いため治りにくくなり、感染を起こしやすくなります。
 
動脈硬化測定器
 
★男性、喫煙者に多い
 患者さんの男女比は6対1で男性が多く、また喫煙者に多いのも特徴です。平均年齢は約70歳で、心筋梗塞より10歳ほど高くなっています。しかも、この病気の患者を調べると、6割に脳梗塞が見つかり、心臓の冠動脈が細くなっている人も4割あった、というデータもあります。つまり動脈硬化症は足だけでなく全身で起こっている可能性があるのです。
 
★治療は?
 治療の基本は歩くことです。足の筋肉を使うと血行がよくなり、血管が太くなります。血管が詰まっていても、別の通り道がバイパスのように出来るのです。症状によっては血液が固まりにくくする薬が処方されます。また、詰まっている部分をバルーンで広げたりステントで固定する血管内手術の方法もあります。
 
  
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