予防3原則を守ろう

細菌を「付けず」「増やさず」「殺菌」
 初夏から秋にかけての気候は食中毒が発生しやすい「要注意期間」となります。この時期は気温も湿度も高くなってカビや細菌が繁殖しやすくなるためです。
◎食中毒のタイプ  
 食中毒の多くは細菌が原因になって起こる「細菌性食中毒」です。飲食物に付いた細菌が腸の中で増殖し、中毒症状を起こすタイプ(サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌など)と、飲食物の中で細菌がつくり出す毒素によって中毒症状を起こすタイプ(ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌など)があります。  
 食中毒の主な症状は嘔吐・下痢・腹痛・発熱ですが、細菌の種類によっては重い症状を引き起こすことがありますので、早めに医療機関を受診することが肝要です。 
  
◎予防するには  
 食中毒を予防するには「予防3原則」があります。食べ物を調理する際に材料や器具などに、細菌を(1)付けない(2)増やさない(3)殺す、の3つを心掛けることです。この原則を守って、調理の際は別表のような点に注意して下さい。  
 「食品を85℃で1分加熱すれば、ほとんどの細菌は死ぬ」と言われています。また、調理の際だけでなく、買い物をしたら食材を長時間持ち歩かないこと、なども大切です。調理後は時間を置かず、直ぐ食べることも守りたいものです。逆に言えば、この時期は作り置きはせず、食事直前に料理して出来立てを食べることです。
 
〔調理で気を付けたいこと〕
▽包丁 切る食品を変えるときは必ず、その都度洗う
▽まな板 食品を変えるごとに洗い、定期的に消毒する
▽手 傷のある手では調理しない
▽生鮮食品 鮮度が落ちないよう、早めに調理する
▽ふきん類 こまめに洗って清潔を保つほか、定期的に消毒する
▽冷蔵庫 低温に強い細菌もいるため、冷蔵・冷凍庫を過信しない。古い食品は捨てる
▽調理済み食品 賞味期限を守る
▽タマゴ 割れているものは加熱調理する
 
病原性大腸菌O-157
 「病原性大腸菌」の1つにO-157があります。ときどき保菌者が見つかり新聞を賑わせています。このO-157の特徴は感染力が非常に強く、わずかな病原菌が体内に入っただけでも発症し、胃酸では死滅せずに大腸にたどり着く、といったことが挙げられています。しかも潜伏期間が長く、発症したとたんに症状が急変することもO-157が危険視される理由になっています。  
 初期症状だけではO-157かどうか、を判断するのは危険です。食中毒症状があったら、軽症だと思っても必ず病院・医院で診断を受けましょう。いまは短時間で診断がつき、二次感染の予防にも繋がります。
 
感染力が極めて強い
〔O-157感染症の経過〕
T 感染〜9日は無症状(感染から3〜9日が潜伏期間)
U 発症1日〜2日目は下痢・腹痛(初期症状は1〜2日の短期間です。症状は他の食中毒と似たような下痢・腹痛ですが、急激に悪化していきます)
V 発症3日〜6日は血便・激しい腹痛=出血性大腸炎(早ければ発症して2日目から激しい腹痛や血便が現れます。血便は血液そのもののような真っ赤な鮮血便なのが特徴です)
W 発症7日目は尿量減少・神経症状=溶血性尿毒症症候群(発症から約1週間経つと毒素が血管内に入り込み尿毒症を起こします。毒素が脳に到達することにより脳症が起こり、意識が遠のく、手足がしびれる、といった症状が現れます)
   
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