心臓の病気、と一口に言っても様々な種類があります。放置していても問題の無いケースもあれば、心筋梗塞のように生命にかかわる病気もあります。そのような重大な病気を予防するためには、早目に受診して、正しい知識を得て、適切な治療を受けることが大切です。
 
「胸の痛み」や「息切れ」 恐い病気を早い受診で防ぐ
I、心臓の病気と症状 
 心臓の病気にかかると、どの様な症状が現れるのでしょうか。代表的な症状は「胸の痛み」です。その他に息切れや放散痛などがありますが、これらの症状の現れ方は人により様々です。

◆胸の痛み=胸に締めつけられるような痛みや圧迫感を感じます。比較的軽い痛みが10分ほど続くようなら「狭心症」が、激しい痛みが30分以上続くようなら「心筋梗塞」が疑われます

◆息切れ=ちょっとした階段を昇っただけでも息切れするようなら、心臓が弱っている可能性があります。病気が進行すると少し歩いただけでも息苦しくなります

◆放散痛=胸以外の場所(左肩、上腕、背中、のど、歯、みぞおち、など)に重苦しさや圧迫感を感じます。やや広い範囲が痛むことが特徴です。この放散痛はそれほど多くの人には起こりません

◆その他の症状=動悸(運動や精神的緊張などのキッカケが無いのに動悸する)、むくみ、疲れやすい、めまい、失神などの症状が現れることがあります。
 
U、心臓病の検査
 心臓の病気を調べる方法は沢山ありますが、病気の状態によって、どんな検査をするか異なります。代表的な検査には次の様な種類があります。

(1)問診=いつ、どんな場合に、どのような症状が現れるか、を確認します。 (2)心電図検査=安静時における心臓の拍動状態を調べます。 (3)胸部レントゲン検査=心臓の大きさや肺の状態を調べます。もし、病気が疑われる場合は (4)心エコー検査=超音波で画像を映し出して異常が生じている場所を調べます。 (5)運動負荷試験=運動時の心臓の働きを測定し心電図に記録します。 (6)ホルター心電計=携帯用の心電計を使って日常生活の中で24時間連続して心電図を記録します。
さらに詳しく調べる場合は (7)心筋シンチグラフィー=医薬品を使用して心筋(心臓の筋肉)の状態を撮影し血流を調べます。 (8)カテーテル検査=冠動脈の内側を調べる検査です。カテーテル(細い管)を腕や脚の付け根から挿入して心臓まで送り込み、造影剤を使って撮影します。 (9)MDCT=造影剤を使って心臓を輪切りの形で撮影して心臓の血管の状態を詳しく調べます。
 
V、心臓病の治療
 病気の種類や進行の程度によって、どの治療法を行うかが決められます。多くの場合、初期では薬物療法のみを行いますが、進行すると手術も検討されます。

◆薬物療法=狭心症の発作が起きた時に症状を鎮めるにはニトログリセリンが多く用いられます。服用後2〜3分で症状が治まります。狭心症の発作や心筋梗塞の再発を予防するには血管を拡げる薬、血栓を作りにくする薬、コレステロールや血圧、交感神経の働きをコントロールする薬、などがあります。心筋梗塞の治療には血栓を溶かす薬を使います。その他、不整脈や心不全などでも薬物療法が行われます

◆カテーテル治療=検査の時と同様に行って冠動脈の狭くなった部位を拡げる方法です。狭心症や心筋梗塞で行われます

◆バイパス手術=他の部位の血管を使って冠動脈に新たな血液の通り道を作る方法です。進行した狭心症の治療に有効です

◆心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)=ある種の不整脈の治療では手術をして心臓に機械を植え込みます。拍動に異常が現れると自動的に電気刺激を発して正常な拍動に戻します

◆危険因子の改善=心臓病の原因はほとんどが動脈硬化です。その予防・改善が心臓病の予防・治療に繋がります。
  
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