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 ステントグラフト手術
 
 
東北で初の胸部治療 〜開胸しないため高齢者にも〜
 総合南東北病院ではいま、大動脈瘤ステントグラフト手術が次々に行われ、成功を収めています。特に8月からは東北では初めての胸部を切開しないで治療する胸部ステントグラフト手術が相次いで行われ、高齢者には危険度が小さいことから今後の治療に大きなインパクトを与える医療技術として注目を集めています。福島民報社でもニュース紙面や、9月5日付けの特集ページ「視点・論点」で大きく取り上げ、反響を巻き起こしています。
大動脈瘤 
 手術を行っているのは循環器・血管外科の緑川博文科長です。緑川先生はすでに腹部大動脈瘤のステントグラフト手術は何回も成功し、それに基づいて胸部についても東北では初めて実施医師の認定を受け、また総合南東北病院も腹部に続いて東北で初の胸部ステントグラフト治療施設の認定を受けています。  

 胸部大動脈瘤の治療は胸を切り開く手術の危険度が高いため、開胸を行わないステントグラフトによる治療が有用とされています。たまたま厚生労働省がこの夏、胸部ステントグラフト治療の保険適用に踏み切り、全国で当院をはじめ実施医師のいる10施設が認可されました。
緑川博文先生
 この胸部ステントグラフト手術は8月に8日、13日、20日、28日と続けて行われました。8日の患者さんは73歳の男性で、もともと血管輪という生まれつきの奇形があったほか、大腸がんによる人工肛門となっており「通常の外科手術ではリスクが高く、ほぼ不可能」と診断されて、郡山市内の病院から総合南東北病院に紹介された方です。  
使用されたステントグラフト
 
 手術は鼠蹊部(そけいぶ)を5pほど切開し、ここから大動脈にカテーテルを入れて、畳んだステントグラフトを胸部大動脈瘤まで送り込み、患部でステントを開きました。つまり血管というパイプの中にステントグラフトという、もう1つのパイプを入れて動脈瘤の破裂を防ぐ手法です。使われたステントグラフトは直径37o、長さ150o1本と、100o2本の計3本です。手術は2時間で無事終わり成功。患者さんは翌日には歩くことが出来、1週間ほどで退院となりました。   

 緑川先生は「切らない、痛くない、入院が短く費用も少ない、という利点があり、手術による危険度も低いので、体力的に通常の開胸手術が無理な高齢の患者さんの動脈瘤治療に普及させたい」と意欲的に語っています。  
 
  9月5日付福島民報の「視点・論点」紙面
 
 
 
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