肝機能の低下に気を配ろう
 肝臓は体の他の部分と異なって、痛みなどの症状が現れにくいため「沈黙の臓器」と呼ばれています。健康診断で初めて「肝機能の低下」を指摘される場合が多いのは、このためです。初期の段階では自覚症状が出ず、いよいよ悪くなってから黄疸や体のだるさ、食欲不振などの症状が出ますが、こんな症状が出たときは相当悪化している可能性が大きいのです。従って定期的な健康診断で早期に発見することが最上です。肝臓機能の低下に気を配りましょう。
我慢強い“沈黙の臓器”7割はウイルス感染が関係
 
★「酒を飲まないから肝臓は大丈夫」はブー
 肝臓病の原因はアルコールだけではありません。約7割はウイルス感染が関係しているのです。B型肝炎の感染経路は血液、母子感染、性交渉などで、感染力が非常に強いのが特徴です。でも母子の間の感染でない限り、慢性化することもなく肝臓がんにはなりにくいのです。ところがC型肝炎は輸血や血液製剤による感染が大半を占めていて、一旦感染するとその6割がC型慢性肝炎になり、その約半数の人が肝硬変になると言われています。肝硬変を起こしたあと、さらにその半数が肝臓がんになる、という恐ろしい病気なのです。
 
 
☆「では、対策はどうするの?」
 肝機能の異常を調べるには血液検査が欠かせません。血液検査で調べる主な項目は(1)GOT(AST)、GPT(ALT)(2)γ-GTP(3)血清総ビリルビン(4)アルカリホスファターゼ(ALP)、の4つになります。その調べる意図と正常値は別表1の通りです。
 
(別表1) 肝機能の異常を調べる主な血液検査と正常値
GOT(AST)
GPT(ALT)
GOT(AST)
   10〜40IU/I
GPT(ALT)
   5〜40IU/I
GOTとGPTは肝臓でアミノ酸がつくりかえられる時に働く酵素。肝機能が低下すると壊れた肝細胞から血液中に漏れ出す。この値が高い場合は、肝炎や肝機能障害が疑われる。
γ-GTP 55IU/I以下(JSCC法)
お酒を飲む人は、飲まない人に比べて、平均20IU/I高いと考えて下さい。
γ-GPTは、肝臓、脾臓、膵臓などに含まれる酵素。この値はアルコールと相関関係があるので、アルコール性肝障害の早期発見にはこの検査が必要です。この値が80IU/I以上になるとアルコール性肝障害や閉塞性黄疸の疑いが強くなります。
血清総ビリルビン 0.2〜1.2mg/dl この値は、1.5mg/dl以上が異常値で、2〜2.5mg/dl以上になると、はっきりと黄疸があらわれます。また、胆道のガン、胆石などでもこの数値が高くなります。
アルカリホスファターゼ(ALP) 3〜10KA単位
(キンド・キンブ法)
58〜200IU/I
(P-NP法)
(女性は男性よりやや低値)
ALPを推測すると、肝機能の異常や胆汁の流出経路に閉塞や狭窄などの異常があるかどうかを知ることができる。また、骨の病気でも高値になることがある。
 
☆「いたわって肝機能を高めるには?」
 基本は(1)十分な睡眠をとる、(2)ストレスを溜めない、(3)栄養バランスの良い食事を摂る、(4)運動不足にならない、です。そして肝臓を強化する食事とは(1)高たんぱくで適正カロリーである、(2)油脂や糖分が適量である、(3)高ビタミンである、の3つを守れば、肝臓の仕事≠支えて機能を高めます。  
 特に挙げたい「肝機能を強化する野菜」としてモヤシ、キャベツ、シソ、ゴマに注目!です。
 
 
〔肝臓を強化してくれるビタミンを多く含む食品一覧〕
(1)ビタミンA=うなぎ・レバー・卵黄・バター・マーガリン
(2)カロテン=ピーマン・人参・小松菜・ほうれん草
(3)ビタミンB12=にしんなどの魚介類・牡蠣・レバー・チーズ・卵
(4)ビタミンB1=豚肉・レバー・玄米・胚芽米・ゴマ・ピーナッツ
(5)ビタミンC=ブロッコリー・パセリ・イチゴ・レモン・キウイ
(6)ビタミンE=うなぎ・まぐろ・さんま・あじ・さば、などの魚・大豆・ゴマ
 
 
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