「腰磨き」でぎっくり腰を予防
 突然、襲ってくる「ぎっくり腰」は痛みで動くことすらままならない症状で知られ、経験した方も多いハズ。仕事や日常生活への影響も甚大です。そこで、専門家に対処法を聞く特集を毎日新聞が健康欄に掲載し、この中で「ぎっくり腰の防止に腰磨き=vという新しい提唱をしていましたので再録してみました。
慢性化の防止が重要 「姿勢」と「運動」で腰を手入れ
 
 2005年に東大病院整形外科の松平浩先生らが東京都、大阪府、神奈川県などの42の事業所で働く9307人を対象にぎっくり腰について聞いた調査結果があります。これによると、「過去1年間にぎっくり腰になった人」は1180人でした。そのうち、発症した場所は「家」が659人と56%を占め、「仕事場」は350人(30%)でした。発症したキッカケは「何かを持ち上げた時」が299人(25%)「前かがみの姿勢」239人(20%)「かがんだ時」179人(15%)となっています。  

 背中を丸めた悪い姿勢で物を持ち上げよう、とかがんだだけで腰椎には約20sの物を持ち上げる時と同じくらいの負担がかかる、とされています。何かを持ち上げる時は胸を張る姿勢を心掛けると良いようです。発症した場合は先ず慢性化を防ぐのが重要です。寝返りや歩行が難しい場合でも短期間の安静は仕方ありませんが、関節がこわばったり筋肉量や骨密度が減ることがあり、安静にしたために改善が遅れる恐れがあります。そのためには鎮痛剤を1週間程度使って活動を続けた方がよいのです。コルセットなどの腰ベルトも初期の痛みを除去するためなら使ってもよいそうです。  

 松平先生らの調査では、医療機関の治療・指導で最も多かったのが「湿布」でしたが、「患部を冷やすことでぎっくり腰が改善することを示す研究結果は無い」といいます。腰椎付近の直接の患部までは効果が届かないためです。しかし一方では、ぎっくり腰は重篤な病気ではないので不安を取り除くことも大切で、温湿布を張ることで気持ち良く、痛みを軽減する効果もあります。
 
◎では予防法は? 
 埼玉医科大学の白土修整形外科准教授は「腰磨き」と呼ぶ習慣を勧めています。姿勢と運動の2つの柱で歯磨きのように日常的に腰を手入れする方法です。白土先生は「散歩や水泳もよい。手軽に出来る運動を生活に取り入れて専門家の指導を受けて長く続けてほしい」と言っています。
 
 
〔腰磨き〕
★姿勢=腰の骨やカーブを正しく保つのが基本
(1)立っている時は背筋を伸ばし、お腹に力、尻をすぼめヒザを軽く曲げる
(2)寝るときは硬めのベッド・マットレスを選び、仰向けでヒザの下に座布団を入れるか、横向きでヒザを軽く曲げるのが良い姿勢
(3)椅子に座るときは深く腰掛けて背中を密着させる、背もたれの角度は100度から110度に、椅子の高さは股関節とヒザが無理なく曲がる高さ
(4)物を持ち上げるときはヒザを十分曲げ荷物は身体に近づける。

★運動=筋肉や靱帯(じんたい)を伸ばし柔軟性を高めるのが基本で
(1)腰・背中・お腹のストレッチング
(2)太ももの裏側のストレッチングを行う。

腰の周りの筋肉を強くして背骨をしっかりサポートするため
(1)腹筋の強化
(2)背筋の強化を行う。
  
 
トップページへ戻る