脳血管障害
 
冬に気をつけたい
 寒い冬を迎えて、気を付けなければならない病気に「脳血管障害」があります。冬場は屋内と屋外の気温差が生じやすく、寒いトイレや風呂場の脱衣所などで血圧が急上昇して脳出血を起こしやすい条件が揃うためです。日頃から血圧が高めの方は特に注意を!
 
要介護の最大原因に 大半は何らかの持病もつ
★脳血管障害とは
 俗に脳卒中と呼ばれ、脳の血管が破れて起きる「脳出血」と、脳の血管が詰まって起きる「脳梗塞」に大別されます(図1)。厚生労働省の人口動態統計(2006年版)によりますと、脳血管障害で亡くなった人は、がん、心疾患に次いで第3位の約13万人。総人口に占める割合は12%ですが、患者数そのものはその10倍以上の140万人と言われ、男性では介護保険の要介護度4、5になる最大の原因となっています。つまり、脳血管障害は一命は取りとめても、自立した生活が困難になる危険性が極めて高い疾患なのです。
      
★くも膜下出血
 外傷性を除けば、脳血管の分岐部に発生したコブ状の動脈瘤が破れ、くも膜下腔に出血が起きるものです。(図2)
 
★脳出血
 脳血管の細い部分に高い血圧がかかり、血管壁がもろくなって破れることで発症します。
 
★脳梗塞
 「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性梗塞」「心原性脳塞栓」の3つに分けられます。ラクナ梗塞は脳の細い血管壁の厚みが増すために血管が狭まって詰まり、直径3ミリ〜2センチ程度の小さな脳梗塞が起こります。症状は出にくいのですが、MRI検査をすると60歳代の15〜20%、70歳代の30%以上、80歳代では半数以上に発見されます。アテローム血栓性梗塞はコレステロールが溜まり動脈硬化を起こした血管の硬化層を覆う膜が破れることで血栓が出来て血管を詰まらせるものです。心原性脳塞栓は不整脈により心臓内で発生した血栓が血流で脳に運ばれ、太い血管が詰まって発症します。
 
☆脳梗塞では一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる前触れ的な症状が現れる場合があります。これは一旦、血管に詰まった血栓が自然に溶けて血流が回復した状態を言い、片側の目が数分間見えなくなったり、一時的にろれつが回らなくなったり、左右のどちらか半身が痺れる、といった症状が出ます。このTIAの1割が1週間以内に本格的な脳梗塞を起こす、と言われるので、放置せず速やかに主治医に相談することです。
 
◎脳血管障害と基礎疾患
 脳血管障害を起こす人のほとんどは何らかの持病を患っていますが、それに気が付かず、適切な管理が行われていない場合も多いのです。特に高血圧・不整脈・糖尿病(高血糖)・脂質異常症、には注意が必要です。脳血管障害を防ぐのは、1にも2にも自己管理です。食事・運動・禁煙・節酒の4本柱に気を配って、健やかで自立した生活を送ることが大切です。
  
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