慢性膵炎とは

慢性膵炎

 慢性膵炎とは膵臓の炎症が繰り返された結果、膵臓の正常な組織が壊されて線維化し、硬くなっていく病気です。膵臓の正常な細胞が減りつづけると、働きが低下して膵液が十分に分泌されなくなり、食物の消化吸収がうまく出来なくなります。
症状
 腹痛、背部痛があります。腹痛はみぞおちの辺りから左の脇腹を中心にした痛みが多く、持続的で背部や左右の肩まで広がることもあります。また分泌機能の低下による体重減少や脂肪便、食欲不振、倦怠感などが現れます。内分泌としてのインスリン分泌機能の低下によって、糖尿病の症状である口渇きや多尿なども現れる場合があります。慢性膵炎の痛みの特徴は、痛みがずーっと続いて鎮痛剤が効きにくく、仰向けに寝ると膵臓が脊椎に圧迫されて痛みが強くなり、座ると痛みが軽減します。暴飲暴食によって悪化しやすいことも特徴です。
脂肪便とは
 慢性膵炎の進行によって膵液の分泌が低下すると、特に脂肪の消化吸収がうまくいかなくなります。このため、便の中に脂肪が大量に含まれるようになります。便の色がやや黄色みを帯びた白色となり、消化されないものを多く含むため量が多く、どっさりした感じの便になります。
原因
 最も多いのは、アルコール性でおよそ70%を占め、次いで原因不明の特発性が20%、胆石性が3%、などとなっています。男女別では男性はアルコール性が77%、女性では特発性が50%と多くなっています。
主な合併症
◆膵石=膵管の中に出来る結石で、慢性膵炎の患者さんに40〜50%の確率でみられます
◆膵のう胞=膵臓の中や周囲に液体の溜まった袋が出来た状態です。出血や感染症を起こしたり、膵液がのう胞の中に流れ込んだりして慢性膵炎を悪化させます
◆総胆管狭窄=膵頭部の炎症や線維化によって総胆管が狭くなり、胆汁の流れが悪くなって黄疸を引き起こす場合や胆管炎を発症させることもあります。
治療
 一度だめになった膵臓の細胞は元に戻らないので、それ以上膵炎が進まないようにすることが大切です。アルコールが原因ならば、もちろん禁酒が大原則です。薬で膵液の分泌を抑えたり消化酵素を補うようにします。糖尿病を合併しているときはインスリンを補充し、血糖値が上がりすぎないよう調節します。また脂肪の摂取を控えて、食べ過ぎないようにするなど、食餌療法も重要です。このように膵臓の病気の多くは飲酒習慣や偏った食生活に影響されます。
膵臓に優しい生活を
 慢性膵炎の方は症状を引き起こす要因を取り除くために日常生活を改善する必要があります。

血液検査でわかる膵臓の病気

膵臓疾患では膵臓で分泌される消化酵素が血液中で増減します。膵臓の病気が疑われるときは、アミラーゼ検査を主とし、血中のリパーゼ、エラスターゼなどの成分を並行して調べることで、より正確な診断が出来ます。
アミラーゼ
正常値は100〜400IU/l(ブルースターチ法)で、20%以上の高値、または20%以下の低値が異常です(膵臓の異常を知る重要な手掛かりです。ブルースターチ法のほか酵素法、キャラウェイ法、ウォル・ゲムース法などがあり、それぞれの値は異なります)。
リパーゼ
正常値は5〜35IU/l(酵素法)で、膵臓疾患により高値または低値を示します(測定法は酵素法のほか比濁法、発色法、EIA法などがあり、それぞれ正常値は異なります)。
エラスターゼ1
正常値は400ng/dlで、膵炎の活動期や膵臓がんで高値を示します。

原因の70%は飲酒で 〜結石や膵のう胞など合併〜

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