南東北 2009年10月



味覚障害にご注意を!・・・失われる「食べる楽しみ」

 天高く馬肥ゆる秋≠フ真っ只中ですが、折角の味覚の秋というのに、いま味覚障害の人が増える傾向にあるのです。日常生活の中で食べる楽しみが失われては大変です。なぜ味覚に異変が起きるのでしょうか。その辺を探ってみました。
味を感じるのは
 食物の中の物質が唾液に溶けて、舌の味蕾(みらい)に入り込む→味蕾(みらい)の中の味細胞が味覚を捉えて、味覚神経を通して大脳へ信号を送る→味を判断する大脳の中の味覚中枢が信号を受信し、感じられた味を判断する、というルートをたどります。この伝達経路のどこかが故障すると「味覚障害」が起こるのです。
味への障害とは
 その症状はいろいろあります。@味が薄く感じられる「味覚減退」A味がまったく分からなくなる「味覚消失」B本来の味とは違う、いやな味がする「異味症」C甘味だけが感じられない「解離性味覚障害」D何も食べていないのに、いつも口の中で苦い味がする「自発性異常味覚」などで、こんな味覚障害が今、老若男女を問わず増えているのです。
その原因は?
 味覚障害の原因の半分以上を占めているのが「亜鉛不足」です。その他にも「薬剤性(降圧利尿剤・抗生物質・抗ヒスタミン剤など)」「全身の病気(糖尿病・肝臓疾患・胃腸疾患・腎臓病など)」「口腔の病気(舌の病気など)」「心因性(うつ病・ストレスなど)」が原因となることもあります。
亜鉛が不足すると何故?
 原因の多くを占めている亜鉛不足。では、なぜ亜鉛が不足すると味覚が侵されるのでしょうか。実は味蕾(みらい)の中にある味細胞は、体内の細胞の中でも新陳代謝が非常に活発な細胞で、約1カ月ごとに生まれ変わっているのです。そして、その細胞の再生には亜鉛が重要な働きをするのです。このため、体内の亜鉛が不足すると最初に影響を受けるのが味細胞なのです。一方では薬剤性による味覚障害でも薬そのものによるものと、薬によって亜鉛の吸収が妨げられる場合もあるのです。また全身の病気が原因とされる中で、胃腸疾患の場合は亜鉛の吸収力が低下したことで亜鉛不足に陥り味覚障害に繋がるケースもあります。
手軽な食事で食生活に偏り
なぜ亜鉛が足りなくなるの?
 不足を招いているのは最近の食生活の偏りが原因です。過激なダイエットは言わずもがな、ファストフードや出来合いの弁当などで毎日の食事を済ませてしまう暮らしは、独り暮らしの若い人に多く見られますが、高齢者夫婦や孤食のお年寄りでも同じです。こうした食事では微量栄養素である亜鉛はほとんど摂取出来ません。さらに添加物の多い食品には亜鉛の吸収を妨げる物もあります。こうして亜鉛不足が進み味覚障害に繋がるのです。味覚障害は手軽に食事が手に入る社会がもたらし、それに輪をかけているのが高齢者社会の進展、つまり現代病なのです。1日に10〜15rの摂取を心掛けましょう。味がおかしく感じたら耳鼻科または内科で診察を。
【亜鉛を多く含む食べ物(多い順)】
 牡蠣・タラバガニ・牛肉・カシューナッツ・松の実・かずのこ・ごま・納豆

主な原因は「亜鉛不足」味細胞の再生に支障出る

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