あなたも予備軍?増加をたどる花粉症

アレルギー体質の方へ

 平成22年の新春を迎えました。しかし、これから春になるにつれて花粉症の方々はまた辛いシーズンを迎えます。「2050年には花粉症患者は現在の2倍に増える」という予測もあります。そこで今回は、花粉症になる可能性が最も高い、と考えられる「花粉症予備軍(アレルギー体質の方)」について考えてみます。
増える花粉症
 厚生労働省の調査では、日本人の3人に1人はなんらかのアレルギー症状があることが分かっています。中でも花粉症の患者数は1、500万人以上と言われ、しかもその予備軍も患者数とほぼ同数に上るのです。
発症のしくみ
 花粉症は人が免疫機能を働かせるために持っている「IgE抗体」の増加から始まります。アレルギー体質とは、このIgE抗体が作られやすい体質のことなのです。発症の経過は@体内に花粉が侵入するとIgE抗体が作られるAIgE抗体は目や鼻の粘膜にあるマスト細胞(化学物質を豊富に含む細胞)と結合するBこのIgE抗体とマスト細胞の結合は花粉が侵入するたびに繰り返され、IgE抗体と結合した状態のマスト細胞が増えて或る一定量を超えるCさらに花粉が侵入すると、マスト細胞と結合したIgE抗体が反応を開始し、この反応でマスト細胞から化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエン)を放出するD放出された化学伝達物質は目や鼻の知覚神経や血管を刺激し目鼻のかゆみ・くしゃみ・鼻づまりなどの花粉症の症状が起こる、の経過をたどります。
なぜ、突然になるの?
 急に花粉症になったと感じるのは、IgE抗体とマスト細胞が結合して、身体がアレルゲンに対して反応しやすくなって花粉症発症寸前のレベルまで高まっている時に、新たな花粉症シーズンを迎えた、というケースが考えられます。

対策は早めに
 年によって多少は異なりますが、一般にスギ花粉が飛散しはじめるのは2月です。花粉症の治療はシーズンに重症化しないように、症状が出る前から行う「初期治療」が効果的です。花粉症患者の7割がその効果を認めています。何らかのアレルゲンによるアレルギー症状がある方は、初期治療が始まるまでに、花粉症をふくめたアレルギー検査を受けておくと安心です。
アレルギー体質の方は要注意
 IgE抗体はアトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支喘息などとも関わりがあり、こうしたアレルギー疾患のある方は、すでにIgE抗体が多く体内に存在している可能性があります。現在、複数のアレルゲン(アレルギーの原因物質)にアレルギー反応を示す方が増えています。アレルギー体質、または「花粉に対する抗体が陽性」だと、必ず花粉症になるということはありませんが、花粉症が起こるメカニズムから考えてもアレルギー体質の方はやはり注意が必要です。

「初期治療」が効果的〜予備軍も患者数と同数〜

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