南東北 2010年06月



白内障と目の病気

 年をとってくると起こる病気に「白内障」があります。眼球の中にある水晶体の変性によって起こる病気で、中高年の目の病気の代表的なものです。原因は加齢です。また、白内障以外にも加齢による目の病気はいろいろあります。その効果的な予防法や治療法をまとめてみました。
白内障ってどんな病気?
 ひと口でいうと、眼球の中の水晶体が濁る病気です。薄い膜に包まれている水晶体はカメラに例えるとレンズに当たり、中身は無色透明です(図1)。これが加齢とともに水晶体の主成分であるクリスタンというタンパク質が徐々に変性して濁ってしまうことで光を通しにくくなります。このため「物がぼやけたり、かすんで見える」「二重、三重に見える」さらには「光を眩しく感じ、明るい場所では物が見づらい」などの症状が現れます。この原因は、外傷や糖尿病・アトピー性皮膚炎の合併症などによっても起こりますが、90%は加齢によるものです。早い人は40歳代からはじまり、80歳代では90%以上の人にみられる、と言われています。
検査や治療は?
 白内障と診断された場合、濁ってしまった水晶体は元に戻りません。完全に治す薬も無いため、濁った水晶体を取り除いて眼内レンズと置き換える手術を行うことが一般的で、しかも確実な治療法です。視覚は五感の中でも日常生活を支える重要な役割を担っており、視覚・視力低下は生活の上で大きなストレスとなります。異常を感じたら出来るだけ早く眼科を受診し検査を受けることです。
 白内障手術の前に全身の検査、目の検査を行い、角膜の一番内側にある「内皮細胞」を調べます。この内皮細胞が充分にないと手術は受けられません。手術は顕微鏡を使って行われます。角膜を3oほど切開し、器具を挿入して濁った水晶体を砕き、中身を吸引します。そのあと残った袋の中に眼内レンズを挿入して固定します。最近は傷口が小さくて済むため、折り畳み式のレンズが主流となっています。手術は局所麻酔で行われ時間は15分程度。準備時間を含めても1時間程度で終了します。手術は安全性の高いものですが、ときに感染症などの合併症が起こることもありますし、レンズの種類によってはナイトビジョンと呼ばれる夜間の視力低下が見られることもあります。眼内レンズにはピント調節機能が無く焦点が固定されているため、術後もメガネは必要です。
その他の病気
 加齢が発症の一因になっている目の病気としては、「緑内障」「飛蚊症(ひぶんしょう)」「加齢黄斑変性」「糖尿病網膜症」などがあります。緑内障は眼圧の上昇によって視神経が侵されて視野が狭くなり、失明に至ることもある病気です。眼球の房水(角膜と虹彩、虹彩と水晶体の間を満たしている液体)の量が増えすぎて眼圧が高くなり、眼球の後ろにある視神経乳頭に萎縮が起こって視野が狭くなります。点眼薬・内服薬で眼圧を下げる治療を行います。
 飛蚊症は目の前を蚊が飛んでいるように感じたり、ほこりが舞っているように見えたりする病気で、高齢者に多いのですが若い人でも近視の人などにみられます。失明する心配はありませんが背景に網膜剥離、眼底出血などの重大な病気が潜んでいる場合もあります。早めの眼科受診が必要です。形や色を識別する視細胞が集まっている網膜の中心付近を「黄斑」と呼びますが、この黄斑部分が加齢によって変性し視機能が低下するのが加齢黄斑変性です。糖尿病網膜症は日本人の失明原因の第1位です。血糖コントロールと定期的な眼圧検査で防げます。

加齢で水晶体が濁る/手術で眼内レンズ入れる

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