広報誌 南東北

第221号

うつ病について/早期発見が大切です

 日常生活から充実感が失われ、たいへんつらい気持ちを抱えてしまう「うつ病」。けれども、きちんと休養をとり、根気よく薬の服用を続ければ、ほとんど治すことができます。最近はうつ病に対する理解も広まってきています。
どんな病気?
 うつ病は長期にわたって深く落ち込んだ状態が続く病気で、「憂うつ感」が症状として現れます。とはいえ、人間誰しも落ち込んだり、憂うつな気分になることはあるものです。しかし、うつ病ではそれが日常生活に支障が出るほど強く、長く続くのが特徴です。その他にも、次に上げるような症状が現れますが、特に憂うつ感と意欲の減退はうつ病の中心的な症状です。またこれらの症状は朝に強く現れて夜になると和らぐのが特徴です。
精神症状
◇憂うつ感=これがとても強くなるため日常生活にも支障が出るようになります。しかも2週間以上の長期にわたって続きます。物事に悲観的になり、自分が価値の無い人間で他人に迷惑をかけている、と考え、自責感や劣等感が強くなります。◇意欲の減退=これまで楽しんでいたことが楽しめず集中力も無くなります。また、人と会うことを避けるようになります。
身体症状
◇睡眠障害=朝早く目覚めてしまったり、寝付きが悪い、何度も目が覚める、などの睡眠障害が現れます。
◇食欲の低下=食欲がわかず、食べても味を感じなくなります。
◇倦怠感=疲れやすくなり、動作が乏しく、ゆっくりになります。
◇不定愁訴=頭痛・吐き気・寒気・手足のしびれ・肩凝り・下痢・便秘などの症状が、身体の病気が無いのにもかかわらず、現れます。
うつ病のきっかけは?
 うつ病の発症には性格的な要因と環境の要因が関係しています。性格的に「几帳面」「まじめ」「こだわりが強い」「完璧主義」「他人に気をつかう」などの人はうつ病にかかりやすい傾向があります。これに環境変化として「近親者との死別」「家族との別居」「離婚」「子どもの独立」「失恋」「結婚」「出産」「失業」「転職」「転居」「昇進」「病気」などがプラスされると、うつ病を発症しやすくなります。
では、治療は?
 治療の基本は休養です。患者さんはストレスや過労で心身の状態が限界に達しているにもかかわらず、無理して頑張ったためにうつ病になったのです。ですからゆっくり休養をとるのがとても重要なのです。病院での治療の基本は薬物療法になります。脳の神経機能が異常をきたすようになるため、抗うつ薬を用いて脳内の神経伝達物質の量を保つようにします。その外、抗不安薬、睡眠薬が投与されることもあります。抗うつ薬の服用は長期にわたって続ける必要があります。また自己判断で薬を中断すると病気が悪化してしまうので、必ず医師の指示を守ることです。焦らず、ゆっくり治療に取り組みましょう。
周りでの注意
 周りの人は、まずうつ病についての正しい知識を得ることが大切で、患者さんの様子を「怠け、気の持ちようが悪い」と誤解しないことです。また励ましは却って患者さんを苦しめるので禁物です。自殺などにも気を配りましょう。
お年寄りのうつ病
 うつ病は若い人から中高年者、お年寄りまで誰でもかかりうる病気です。中でもお年寄りは気づかれにくい傾向があり注意が必要です。「元気がない」「意欲がわかない」「物忘れが多い」といった症状は認知症と共通しているため間違われやすいのです。本人も周囲の人も「年のせい」と考えてしまいがちです。お年寄りは親しい人との死別や病気の悩みなど、うつ病のきっかけとなるような出来事の体験が増えてきます。周囲で気を付けて、おかしかったら医療機関に相談してみましょう。

憂うつ感と意欲減退「性格」に「環境要因」加わる

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