広報誌 南東北

第222号

変形性膝関節症

 どんな物でも長い年月使用していると、動きが悪くなったり、何らかの不調が出てきます。私たちの身体も例外ではありません。変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)もその一つで、膝への長年の酷使から引き起こされるもので、中高年での発症、特に女性に多い疾患です。その原因と治療法を毎日新聞の紙面から。
加齢により発症
 正常な膝関節の表面は弾力性に富んだ軟骨で覆われています。軟骨は膝への衝撃を和らげたり、関節の動きをスムーズにする働きをしていますが、年をとるとスリ減ったり変形します。その結果、軟骨同士がぶつかり合って痛みが生じます。また、関節を覆う薄い膜(滑膜)が炎症を起こすことで膝に水がたまり、腫れる場合もあります。これが変形性膝関節症です。
 主に加齢によって生じますが、その度合いや進み具合は肥満の程度、O脚であるかどうか、下肢の筋力の程度、などで異なります。診断は症状の有無ではなく、レントゲン検査で軟骨の減り具合を見て行います。新潟大学の大森豪教授(整形外科)によりますと、男女とも40歳を超えると増え、特に女性では60代で3〜4割、70代で5〜6割がレントゲン検査で変形性膝関節症と診断されるそうです。
 過去の疫学調査から、変形性膝関節症の患者さんは推定約1000万人いるといいますが、腫れや痛みの症状を持っているのは、このうちの2〜3割。発症しても6〜7割程度の人は軽か中ていどの状態でとどまり、手術を含めた治療が必要になる重症例は少ないので、あまり深刻になる必要はありません。
手術は最後の手段
 痛みは座った姿勢から立ち上がる時や、階段の上り下りなどの時にみられます(表1)。治療には運動療法、装具療法、薬物療法などの保存療法のほかに手術療法があります。大森教授は「手術は最終的な手段です。まずは予防も含めた保存的な治療が大事。筋力をつけて膝関節への負担を減らし関節を安定させることが重要です」と日頃からの運動を勧めています。家で出来る運動としては@椅子に座って片足を水平に上げ10秒ほど止める。これを両足で5回ずつA仰向けに寝て片足を約30度上げて10秒ほど止める。これを両足で5回程度B両足で爪先立ちし10秒ほど静止する。これを20回C1日に20〜30分歩くD水中で運動するE日頃から膝の曲げ伸ばしをする、など(イラスト参照)。
装具や注射も効果
 装具療法の一つに、日本で開発された足底板があります。外側がやや高くなったサンダルの様な装具で痛みが軽くなります。
 ヒアルロン酸の注射もあります。ヒアルロン酸は関節液の大切な成分で保水力に優れ肌にも含まれています。注射は週1回ていどで、症状を見ながら継続して行います。痛みや腫れが強いときは消炎鎮痛剤を使うこともあります。

運動で筋力強化し負担軽減

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