広報誌 南東北

第224号

膠原病ってどんな病気?

細胞の結合組織に異常

 膠原病(こうげんびょう)という名前は時おり耳にする病名ですが、どんな病気なのかについては意外に知られていません。膠原病とは1つの病気を指すのではなく、共通する性質の病気を総称する言葉なのです。以前は難病というイメージがありましたが、近年は医療の進歩で良い状態を保ちながら通常の生活をすることも可能になっています。
その特徴
 膠原病は関節リュウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などを指します。共通する症状は関節の腫れやこわばり、痛みが挙げられます。また病気が進行すると臓器にも障害が現れるようになります。とはいえ、膠原病は臓器そのものに異常を生じる病気ではありません。細胞と細胞の間にある結合組織に異常が現れるのです。細胞同士を結び付けているものを膠原繊維(コラーゲン)といい、これが膠原病の名のもとになっているのです。結合組織は全身に存在していますので関節や臓器など、どこでも症状が現れる可能性があるのです。
 なぜ膠原病が発症するのか、その原因は免疫機能の異常にあります。人体には異物である細菌やウイルスを排除する「免疫」という機能が備わっていますが、膠原病ではこの機能に異常が起こって自分の身体を異物として認識してしまい、それを排除しようとするのです。これを「自己免疫反応」と言います。
関節にこわばり、腫れ、痛み
初期症状
 個々の病気によって異なりますが、主な症状は次のようなものがあります。「関節の腫れ・こわばり・痛み」「発熱」「疲労感が続く」「体重の減少」「筋力の低下・筋肉痛」「皮膚に紅斑や紫斑が現れる」「レイノー現象(寒さに当たると指先が白くなる)」。膠原病の初期症状はカゼの症状に似ており、生活にもさほど支障はありません。しかし、進行すると関節に変形が現れたり臓器に障害が起こるなど、日常生活に不自由を感じるようになっていきます。一度進んでしまった障害は元に戻らないため、病気を早期に発見して進行をくい止める必要があります。
治療の中心は薬物療法/あくまで早期発見がカギ
治療法
 治療の中心は薬物療法で、関節や臓器の障害を防ぐ目的で行われます。薬で炎症を軽減させたり自己免疫反応を抑えたりします。いずれにしても早期から治療を始めるのが大切です。また、薬の服用と同時に日常生活でも気をつけたいことがあります。それは@疲労を溜めないこと。特に十分な睡眠時間を確保するのが大切A病状が安定しているときは、なるべく身体を動かしたり運動療法としての体操をしたりして、筋肉や関節の機能を維持するようにするB身体、特に関節を冷やさないことも大切。衣服や室温をこまめに調節し、入浴などで身体の保温を心掛けるC治療中は感染症に罹りやすくなるため、うがいや手洗いを励行し身体に傷が出来ないように気を付けることも必要、の各点です。
 膠原病の初期症状はカゼなど他の病気と似ている点が多いので、症状だけで病気を診断できません。気になる症状があれば医師に相談して血液検査などの検査を受けてください。膠原病を早期に発見できれば、良い状態を保ってこれまで通りの生活が可能なのです。
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