広報誌 南東北

第228号

パーキンソン病を知っていますか?

 手足がふるえたり、動作が不自由になる病気「パーキンソン病」を知っていますか?治療は難しいとされていますが、近年になって薬物療法などが進歩して、病気の進行を抑えることが可能になっています。どんな病気か、まとめてみました。
どんな病気なの?
 パーキンソン病は運動をつかさどる神経系統に異常が生じて運動機能に障害が現われる病気です。60歳代で発症することが多いようです。この病気には次のような4つの特徴的な症状があります。
@ふるえ(振戦)=片方の手にふるえが見られ、少し進行すると両手、足、ときにはあごにも現われます。安静時に起こり、何か動作しようとすると止まります。この病気の初期に最も多くみられる症状ですAこわばり=筋肉が固くなり(固縮)、特有の前かがみ姿勢になります。顔の筋肉も固くなるため、表情が乏しくなります。話がしにくくなったり、食物を飲み込めなくなることもありますB動作が遅くなる=動きが少なく、遅くなります。歩こうとしても最初の一歩がなかなか踏み出せず、小刻みな歩き方をします。また、一度歩き出すと、今度は止まらなくなることがありますC姿勢反射障害=身体が傾いたときに姿勢を立て直すことが出来ないため、転びやすくなります。
 初期には「ふるえ」が多いのですが、進行すると他の様々な症状が出てきます。この4つのほかにも自律神経バランスの乱れで便秘・体温調節不能・発汗・立ちくらみ・うつ症状などがみられます。現われ方は進行程度や個人差で様々です。
検査と治療
 検査はまず問診で症状を確認し、歩行や動作の状態、筋肉の固縮を調べます。パーキンソン病と似た症状が現れる他の病気(脳梗塞など)が隠れていないか、を調べるため画像検査を行なうこともあります。治療は薬物療法です。パーキンソン病は脳内の神経伝達物質ドパミンが不足することで起きます。このドパミンを薬で補うことが治療の基本となります。補助的にそれ以外の薬を使うこともあります。いずれにしても、パーキンソン病の薬は「病気を治す」というよりは「症状をコントロールして生活の質を維持する」ことが目的です。ですから早期に治療をはじめれば、病気の進行を遅らせることが出来、健康に近い状態で日常生活を送ることが可能なのです。
 薬物療法でも症状をうまくコントロール出来ない場合などには手術療法が検討されます。手術は脳の深部に電極を、胸部に刺激装置を植え込んで電線でつなぎます(図)。脳に弱い電流を流すことで運動機能を改善することができます。刺激装置の電池交換のため3〜5年に1度、手術が必要になります。
自分で出来るセルフケア
 治療の基本は薬物療法ですが、健康維持のために自分で出来ることがたくさんあります。普段から身体を動かしていれば運動機能は維持できます。無理の無い範囲で積極的に身体を動かしましょう。ストレッチのほか、特に身体をひねることを入れた体操などです。おしゃべりも積極的にしましょう。外に出て生活の場を広げることもたいへん重要です。旅に行くのもいいですね。
誤解しないでパーキンソン病
 この病気の症状は特異であり、症状の程度も変動が大きいため、ときには周囲の人から誤解を受けることがあります。「自分で出来るハズなのに、今度は介助を求めてくる」といったことです。これは1日の中で症状が急に変わることがあって、午前中に歩けたのが、午後は全く動けない、ということも起こり得るのです。周囲の人は病気を正しく理解し、ぜひ快く介助して下さい。

運動神経系統の異常で障害/薬でドパミン補い、手術も

トップページへ戻る