広報誌 南東北

第232号

代表的な症状は微熱
ひどい疲労が半年以上も

何とかしたい…この疲れ。慢性疲労症候群(CFS)

「慢性疲労症候群」という病気をご存知ですか?いわゆる「慢性疲労」とは違い、原因の分からない極度の疲労感が長期間続く病気です。診断基準が出来たのが1988年と比較的遅く、1990年代ごろから日本でも国際診断基準に基づく症例が報告され、現在も患者数が増え続けています。
どんな病気?
慢性疲労症候群(CFS)は身体を動かせないほどの疲労が6ヵ月以上の長期間にわたって続き、日常生活にも支障をきたすほどの病気です。健康な人がカゼや気管支炎などを患ったことをキッカケに、カゼに似た症状が長引くのと同じような状態で発症することが多い病気です。休んでいても改善しなかったり、摂食障害や不眠などを伴っている場合は要注意です。こうした場合で、血液検査も含む全身の検査(ホルモンの異常、内臓や脳、神経系統の検査など)をいくら行なっても異常が見つからないとき、慢性疲労症候群が疑われます。
主な症状
  • 〈微熱・頭痛・ノドの痛み〉この病気の代表的な症状として微熱があげられます。平熱より0.5〜1.5℃程度高い熱が半年以上にわたって持続します。解熱鎮痛剤などを使っても熱があまり下がらないことも特徴と言えます。また、カゼをひいた時のようなノドの痛みや頭痛がするようになることがあります。
  • 〈疲労感〉日常生活に支障をきたす程の疲労感が引き起こされます。ちなみに仕事や育児など、疲労の原因がハッキリしている場合は「慢性疲労」であり、慢性疲労症候群には当てはまりません。
  • 〈筋肉痛〉全身または特定の部位に激しい運動をした後のような筋肉痛が現われ、動くことが出来ないほどの痛みになることがあります。
  • 〈不眠と過眠〉自律神経の異常により、寝付けない、眠りが浅い、早く目が覚めてしまう、などの「不眠」や、朝起きられない、日中に極度の眠気に襲われる、といった「過眠」の症状、さらにはこれらが一日のうちに同時に現れることもあります。
  • 〈気分障害〉うつ病に似た症状が出て気分の落ち込みが続き仕事に出られない程までになる場合があります。一般的にはうつ病の症状は朝に重く午後に軽減される傾向がありますが、慢性疲労症候群の場合は午後の方が憂鬱感が強まる傾向にあります。また注意力や集中力の低下なども見られます。物忘れがひどくなるなど、認知症のような症状が出る場合もあります。
原因は?
この病気は原因がまだ明らかになっていないのです。ただ研究の結果、病気の起こる仕組みが少しずつ明らかになってきました。
私たちの身体は神経系・ホルモン系・免疫系の3つがバランスを保って働いています。ところが、ストレスをきっかけにして神経系の働きに異常が生じ、免疫の働きが低下すると体内に潜伏していたウイルスが再活性化されます。このウイルスを抑え込むために体内では免疫物質が過剰に作られるようになります。この過剰に作られた免疫物質が脳の働きに影響を及ぼし、強い疲労感や様々な症状を起こす、という説が有力です。また、慢性疲労症候群の患者さんは或る特定の遺伝子に関する異常が認められていることも報告されています。
治療の方法
薬物療法が中心です。中でも主になるのは「捕中益気湯(ほちゅうえつきとう)」などの漢方薬で身体の免疫力を高める治療です。同時に、体内の活性酸素による細胞の障害を防ぐため、抗酸化作用を持つビタミンCを大量に服用します。ほかにも抗ウイルス薬や免疫調整剤が使われることがあり免疫系の回復を目指します。また、うつ病向けの薬が効果を発揮することがあり抗うつ剤、精神安定剤などが使われることもあります。
ただ、慢性疲労症候群は完治させるには難しく、一般的に治療は数か月から数年かかります。治療を続けて徐々に改善を図っていくことが大切。投薬治療を続けていると3〜4年で通院の必要が無くなるケースもあるようです。

治療は薬物療法が中心に

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