広報誌 南東北

第232号

PTSD

3月11日に発生した国内観測史上、最大規模の大地震「東日本大震災」から3カ月が過ぎましたが、現在も被災者の中にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が現れている方が多くいます。PTSDの症状が起こると、その心理状態は記憶のフラッシュバックや悪夢などによって、過去の体験が現在もなお継続して起きているかのような錯覚に陥ります。このため、極度の恐怖心や自責の念を感じるのです。多くの場合、それらは自然に回復していきますが、日常生活に支障が出るほど重症化することもあるので、注意が必要です。
PTSDに対しては心理療法と薬物療法によって完全に症状が無くなるか、日常生活に支障が出ない程度までに症状を軽減することが期待出来る、非常に効果的な治療を受けることが出来ます。中でも心理療法では段階的に体験と似た状況を人為的に作り出すことや、体験時の記憶を再構築することによって、その体験を直視出来るように治療していきます。エクスポージャー療法と呼ばれるものです。体験を「無かったこと」として抑えつけてしまうのではなく、過去に起きたこと、そして現在ではもう起きていないこととして受け止めることが回復への重要な要因となるのです。そして、薬物療法により苦痛や不快感を軽減し、症状を改善させていくのです。
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