広報誌 南東北

第233号

「合剤」について

異なる薬成分を一つに配合

合剤とは何種類かの同じような薬効、あるいは異なる薬効を持った成分を一つの薬の中に配合した医薬品をいいます(配合剤とも)。複数の成分を組み合わせることにより、単一の成分による薬よりも効果を高めたり、副作用を抑え安全性を高めたりすることができます。例えば、あるお薬を使うと胃が荒れる場合、胃薬も処方されることがあります。そのような場合に合剤なら一つの薬で済むことができます。患者さんにとっても、飲む薬の数が減り、飲み忘れを防ぐことができる点でQOLの向上が期待できます。お薬の価格も単剤を別々に服用することよりも価格が安くなることのメリットもあります。
しかし、いいことばかりではありません。お薬の効果が単剤に比べると弱いということで単剤ほど効果がない、ということもあります。医師が患者の症状にあわせて調節したい場合、合剤は一定の割合で配合されているので投与量の調節をすることができません。このため合剤は配合比を変えてつくられたものが用意されています。その合剤の例をいくつか挙げます。
コディオ配合錠
高血圧治療であるアンジオテンシン2受容体拮抗薬のディオバンというお薬とサイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドの配合剤です。異なる作用機序の薬剤をくみあわせることで高圧効果の増強が期待できます。
バクタ配合錠
サルファ薬という配合抗菌剤とトリメトプリムという葉酸活性化阻害薬の2種類の合剤。この2つを組み合わせることで、効果を増強し、耐性菌の出現を抑えることができます。尿路感染症やニューモシスチス肺炎に用いられます。
セレスタミン配合錠
抗ヒスタミン剤と副腎皮質ホルモン(ステロイド)の2成分が配合されています。湿疹やじんましんや花粉症に使われます。抗ヒスタミン作用と副腎皮質ホルモンによる抗炎症作用により、優れた効果が期待できます。
 (参考:治療ナビ−治験・医薬用語集〈合剤(配合剤)〉 薬剤科 菅原麻貴)
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