広報誌 南東北

第234号

病気に負けない 免疫力アップを…

食物繊維や発酵食品を摂る

「病気をしないで、健康に暮らせること」が私たちの最大の願いであることは言うまでもありません。しかし、身体は常に外敵から攻撃されているのです。体内の細胞が突然変異して発生するがんはもちろん、いろんなウイルスや細菌、そして身体に溜まっていくストレス…。このような外敵から身体を守って病気を防いだり、罹った病気を治そうとする力が身体には備わっています。これが「免疫力」です。この免疫力をアップする方法を取り上げました。
一口に「免疫力が備わっている」といいますが、この免疫力が無い人もいるのです。先天的に免疫力が無い人で「免疫不全症」という病気です。この病気では無菌室での生活を余儀なくされます。免疫は私たちの身体を守る防御システムだからです。体内でその防御をつかさどっているのは、血液中の白血球です。白血球はリンパ球・マクロフアージ・顆粒球の3種類に分かれています。白血球は血液1立方ミリメートルの中に4千から8千個含まれていて、次のような働きをします。
<マクロフアージとリンパ球の働き>@細菌や異物を察知してサイトカインを出してリンパ球に信号を送るA細菌や異物を食べてしまうBリンパ球のNK細胞が体中を常にパトロールしながら、細胞を直接見付けだして破壊する<顆粒球の働き>@異物が体内に侵入すると、顆粒球が集まって異物を包み込んで消化酵素で分解処理するA殺菌能力を持つ。このように素晴らしい働きをする免疫力ですが、弱点もあるのです。ストレスに弱いのです。悩みや心配事など精神的ストレスが自律神経のバランスを乱し免疫力を低下させる、と考えられています。
★病気と戦う免疫力をアップさせるには★
A 副交感神経を優位にする=ストレスが多い人は副交感神経を刺激して優位に保っておくことが必要です。副交感神経とは夜や休憩時に働く神経で、血管を広げて血流を促し心身をリラックス状態にする働きがあります。一方、緊張したり興奮したりすると交感神経の方が優位になり心臓の拍動を高め、血圧を上げます。通常はこの2つの神経がバランスをとっていますが、ストレスや過労などでバランスが乱れると白血球にも悪影響が及ぶのです。副交感神経が優位になるとリンパ球が増えて免疫力が向上します。副交感神経を優位にするには@適度な運動をするA深呼吸をするB食事をゆっくり、よく噛んで食べるCぬるめのお風呂に浸かったりして身体を温めて血流をよくする、などです。
B 免疫力を高める食品を摂取する=免疫力を高める食品としては食物繊維が多い食品、抗酸化食品です。腸内の環境が良いと免疫力がアップすることが明らかにされています。腸には病原菌などが腸壁から侵入するのを防ぐ免疫細胞が多く集まっています。腸内の善玉菌を優位にするため、食物繊維の多い食品やヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂ることです。摂りたい食品は玄米・野菜・きのこ類・バナナ・緑茶・ココア・林檎・ヨーグルト・納豆など。
C ストレス過剰にならない=現代社会においてはストレスはつきものです。そのストレスをうまく発散させればいいのですが、これが簡単にはゆきません。でも、ストレスが強いと交感神経が優位になるので免疫力が弱まり、副交感神経を優位にさせるとストレスが弱まって免疫力が向上する、と考えて対策を講じて下さい。それには@仕事などで疲れたら無理せずに十分休養をとる。疲労回復せずにいると免疫力が弱まり病気に抵抗できなくなるA毎日の生活にリラックスできる時間・空間をつくる。笑いがあれば最高。笑いは副交感神経に支配されているので免疫力を高めます。
D その他の免疫力を低下させる原因=<タバコ>身体にとって有害なのは当然ですが、特に有害物質を呼吸器に送り続けていると免疫細胞のマクロフアージが過剰反応して、がんへの近道になります。<暴飲暴食>胃腸に負担をかけ、特に腸が疲労することにより腸の免疫細胞がパワーダウンします。<冷え>免疫細胞は37℃前後で活発に働く、といわれています。身体を冷やすと免疫力を低下させます。<睡眠不足>睡眠中は一日中活動した身体の回復のために必要不可欠です。睡眠時間が少ないと体力の回復力が低下し、免疫細胞の数も少なくなります。

副交感神経を優位に

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