広報誌 南東北

第238号

子宮頸がん

効果的な予防方法あります

年間約8500人の女性が発症、2500人以上が死亡するという怖い子宮頸がん。原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)で一昨年から日本でも予防ワクチンが接種可能になりました。公費による助成制度も始まっており改めて予防できる子宮頸がんを学んでみます。
子宮がんには頸がんと体がんの2種類があります。頸がんは子宮の入り口の頸部上皮(表面の細胞)、体がんは子宮の奥にあたる体部のうちの内膜から発生します。
このうち頸がんは30〜40歳代に多く見られますが、40歳代が年々減っているのに比べ20〜30歳代が逆に増えています。原因はHPVによるもので主に性交渉によって感染します。セックス経験のある女性の約8割は一生に一度は感染すると言われ感染自体は珍しくありません。
実際に感染しても身体の免疫力により体外に排出されますが、免疫力が弱いと感染状態が長く続き子宮頸部の細胞にがん化する可能性がある遺伝子変化が起き、放置するとがんの発症につながります。
ワクチン接種は公費助成も
福島県内では年間約80人前後の女性が亡くなっていますが、子宮頸がんの効率的な予防法があるのです。一昨年から予防ワクチンの接種が始まりました。このワクチンはHPV16型とHPV18型のウイルスに対する抗体を人為的に体内に作ることを目的にしたものです。国は昨年11月「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」をスタートさせました。対象年齢は13歳相当(中学1年生、自治体によっては小学6年生)から16歳相当で、本県内では59の全市町村で公費助成が受けられます。性交渉経験のない、あるいはHPVに感染していない時期に接種するのが最も効果的ということから対象年齢が決められました。
勿論、この対象年齢以外の女性がワクチン接種することも決して無駄ではありません。HPVの持続的な感染状態を防ぐことが子宮頸がん予防になるからです。ワクチンの臨床試験で45歳までは予防効果が確認され、55歳までは安全性が証明されています。
はたち過ぎたら子宮頸がん検診
子宮頸がんの検診は異常を発見できる確率の高い意味のある検診ですが、残念ながら日本の受診率は20%台。英国の78%台、ニュージーランドの75%台に比べると余りにも低い憂慮すべき率です。女性は職場の健診で乳がんや子宮頸がん検診が受けられないのが大半で、自ら医療機関に出向かないとならない環境が要因にあると見られます。
子宮頸がん検診は、子宮頸部の細胞を綿棒等で採取するだけでほとんど痛みもなく短時間で終わります。また国は20、25、30、35、40歳の方に自治体を通じて検診の無料クーポン券を配布しています。20歳以上は是非子宮頸がんがん検診を受けたいものです。
さらに30歳以上の方は子宮頸がん検診のほか子宮頸部に発がん性のHPVが感染しているかどうかを調べるHPV検査を受診すべきです。10代のふさわしい時期にワクチンを接種し、20歳代には子宮頸がん検診を定期的に受け、30歳過ぎたらHPV検査も受診する。これを意識し、実践すれば子宮頸がんのない未来につながるでしょう。

 

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