広報誌 南東北

第238号

インフルエンザ・ノロウイルス

今季も徹底予防を

毎年この時期になると「また冬が来た」と思うと同時にインフルエンザが流行する季節となりました。すでに茨城県などでインフルエンザによる学級閉鎖が出ており、今年は流行が早まりそうな気配です。冬の感染症予防の基本は「手洗い・うがい」。先月中旬、総合南東北病院で開かれた医学健康講座で同病院感染対策室の高木光恵看護師長が「冬季感染症、インフルエンザ・ノロウイルス」と題して講演した内容を要約し、予防策を点検したいと思います。
インフルエンザは例年12月頃から発生し、1月下旬から2月ごろをピークに爆発的に感染者が増えます。A型2種とB型がありますが、症状はほぼ同じです。インフルエンザは風邪に比べ症状が重く、突然38度から40度の高熱と全身のだるさ、頭痛、筋肉痛などの全身症状が起こり、これと同時か、少し遅れてのどの痛みや鼻水、咳などの呼吸器症状が現れるのが特徴です。これに対し普通の風邪はのどの痛みや鼻水、咳などの症状が中心で全身症状があまり見られません。
インフルエンザは感染力が強く短期間に子供から高齢者まで急激に広がります。高齢者は肺炎など合併症を引き起こしやすく、死亡率も高く要注意です。潜伏期間は1〜5日(3日以内が多い)。咳やくしゃみで飛んだウイルスを吸い込むか、そのウイルスが付着したテーブルやドアノブに触れて感染します。感染してしまったら水分を十分にとり自宅で安静が一番。あとは抗インフルエンザ薬の投与ですが、発症後48時間以内の投与が効果があるといわれます。
インフルエンザの感染を防ぐには@こまめな手洗いA咳・エチケットB予防接種-が3大柱。帰宅時の手洗い・うがいは当然ですが、つばや鼻水が手についたら石鹸で丁寧に洗い流して下さい。咳で1.5b、くしゃみで3bウイルスを含むしぶきが飛散すると言われます。咳・くしゃみのある方はマスクをし、咳・くしゃみが出そうになったら腕で口と鼻を押さえて下さい。それが感染を広げないエチケットです。病院に行くときも勿論マスク励行です。予防接種はワクチンの効果が出るのが接種後約2週間かかるので流行前にして下さい。卵アレルギーや重症疾患にかかっている人、過去にけいれん・免疫不全、気管支喘息のある人は接種に注意が必要で医師の指示を受けて下さい。
冬の感染症で重要視されるのがノロウイルス。一般には牡蠣などの2枚貝を原因とする食中毒として知られますが、最近は感染者の吐いた物や排泄物に触れた手を介してウイルスが食べ物や食器などに付着し間接的に感染する感染症として注目されています。
2年前の暮に横浜市のホテルで52人が発症した例、5年前の暮に豊島区のホテルで347人が発症した例などはいずれもノロウイルスが原因でした。郡山市でも5年前に暮から正月にかけて200人近い集団発症がありましたが、これもノロウイルスによると推定されました。
ノロウイルスの特徴は感染力が強いこと。お風呂や僅かな量の便が衣類に付着しただけで感染の原因になることもあります。熱や乾燥に強くアルコールに抵抗性を示します。
ノロウイルスの潜伏期間は1〜2日。症状は嘔吐、下痢、人によっては発熱、腹痛を伴いますが、3日ほどで回復します。高齢者や乳幼児の場合は吐物を気管につまらせたり、下痢による脱水がひどいこともあります。治療薬が無く、水分補給で脱水症状を防ぐことが大事です。安易に下痢止めを飲むと病気回復を遅らせる原因にもなりかねないので注意が必要です。
ノロウイルスは排泄期間が少なくて1週間ですが、人から排泄された後も環境になじみ、感染力を持ち続けるため消毒方法を誤ると感染を広げることもあります。オムツはビニール袋に入れて密閉、洗濯物は、汚物を流水でしっかり流し、加熱(85度以上10分)かハイターで消毒すること。排泄物は手袋、マスク、エプロンを着用して乾燥する前に処理し吐物や便がついた床などはハイター(0.1〜0.5%に薄める)で10分以上消毒して下さい。
また食事前には必ず手を洗い、お風呂は湯に入る前に体を良く洗い、症状がある時は入浴を控えるか、最後に入るか、シャワーだけ。掃除も水道の蛇口やドアノブはこまめに消毒するなど感染を広げないようにしたいものです。

実践していますか、手洗いとうがい

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