広報誌 南東北

第243号

増えています 急性膵炎

重症になると死に至る怖い病気

新人社員の歓迎会や総会など宴会の多い季節。飲み過ぎた翌日など上腹部痛があり、吐き気や痛みが加わったら急性膵炎の可能性が高く要注意です。発症頻度は男性が女性の2倍で男性が40代、女性は60代がピーク。年間約2万人が発病し4分の1の約5千人が重症化、その4分の1が死亡しているといわれ重症膵炎は難病に指定されています。どういう病気か、予防法は。ぜひ知っておきたいものです。
暴飲暴食は慎み アルコールはほどほどに
膵臓は、みぞおちとへその間、胃の裏側にある長さ15a程の臓器。主に二つの働きをしているが、一つは血糖値を下げるインスリン、上げるグルカゴンなどのホルモンを分泌し血糖を調節する内分泌機能です。もう一つは食べ物の消化に必要な消化酵素(たんぱく質を分解するトリプシン、炭水化物分解のアミラーゼ、脂肪分解のリパーゼ)などを含んだ膵液という消化液を分泌する外分泌機能です。
膵臓には本来、膵液による消化を防ぐ仕組みがあるが、何らかの原因で機能しなくなると膵臓は自分で自分を消化し始め、浮腫(むくみ)や出血、壊死などの急性炎症が起こる。炎症を起こした膵臓からは他の臓器に悪影響を及ぼす物質が多量に出て血液中に流れ込み心臓や肺、肝臓、腎臓、消化器官などに障害が及び機能しなくなり多臓器不全で死に至ることもあります。
急性膵炎の原因で一番多いのがアルコール、酒の飲み過ぎ。次が胆石。原因不明の「突発性」もある。飲酒を続けていると膵臓の分泌がアルコールによって刺激され、多量の膵液で膵管の内圧が高くなり膵炎が起こる。またアルコールそのものにより膵臓の細胞が傷つけられるなどが挙げられます。胆石は肝臓で作られる胆汁の通り道に出来る結石でこの胆石が胆管の中を移動して膵液の出口をふさいで急性膵炎が起こります。
どんな症状か。上腹部に激しい痛みを訴える人が多い。個人差があり軽い痛みから立っていられない程の激痛まで様々。多くは吐き気と嘔吐を伴う。吐いても腹痛は続き、背中に痛みを感じたり発熱、食欲不振、膨満感を訴える人もいる。症状は徐々に出てくることもあれば食事や飲酒の数時間後に突然激しい腹痛が現れることもある。背中に痛みを感じたような場合は、早めに内科や消化器科を受診すべき。急性膵炎の多くは軽症から中等症。絶食と絶飲と輸液により順調に回復していくが、発症から2〜3日は経過観察を要するので入院が必要。また重症急性膵炎はいろいろな臓器の機能不全が同時に起こるので全身を管理、集中治療できる医療施設を選びたい。
膵臓に大きな負担になるのは暴飲暴食や刺激の強い食べ物、飲み物。普段から満腹になるまで食べている人や毎日アルコールを飲む人は要注意です。脂肪食の過剰摂取は膵炎のリスクが高い。栄養バランスのとれた食事が一番で脂身の多い肉や揚げ物などは出来るだけ控える。どの位飲酒すれば発病するというような基準はないが、呑み過ぎは体にいいことは一つもない。禁酒といわれたら絶対に飲まないこと。急性膵炎は一過性なので治療によって症状が治まれば膵臓にほとんど障害が残らないといわれます。ただ発見が遅れると命にかかわります。早期発見と治療のために定期的な健康診断や人間ドックの受診を勧めたい。腹痛は急性膵炎だけでなくいろいろな病気の警戒信号です。
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