広報誌 南東北

第246号

トラネキサム酸

出血を止める人工アミノ酸 肝斑・シミの改善、美白効果も

今回は薬用成分のトラネキサム酸を取り上げます。トラネキサム酸は人工的に合成されたアミノ酸で主に止血薬として用いられます。血を固める成分のフィブリンの分解を抑えて出血を止めやすくしたり、再出血を抑えます。また出血を抑える作用の過程でフィブリンを分解する酵素(プラスミン)が炎症の発現に関わり、そのプラスミンを抑えることで炎症を抑え、口内炎や喉の痛みや腫れを抑えることが出来ます。
さらにトラネキサム酸は、皮膚科などで肝斑(かんぱん)、いわゆるシミの治療に使われることがあります。近年トラネキサム酸には美白の効果もあるという研究結果が出され、化粧品や外用薬、内服薬として用いられるようになっています。肝斑の発症は、女性ホルモンや紫外線など皮膚が刺激を受けることによってメラノサイト活性化因子がメラノサイトに作用し、メラニン産生促進のために発症するといわれています。
トラネキサム酸はこのメラノサイト活性化因子の1つと考えられるプラスミンの阻害作用をしてメラニンを作りだす前の段階で肝斑の発生を抑えることが出来ると考えられます。止血したり喉の炎症を抑えたり、シミを予防したりいろいろな作用があるトラネキサム酸ですが、特に一般用医薬品を買う時に風邪で喉をやられたりしたときや夏の紫外線が気になった時に参考に選んでみるといいでしょう。
(薬剤科 中野洸大)
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