広報誌 南東北

第249号

女性に多い関節リウマチ

新薬で進行抑え、格段に改善

関節に起る炎症がもたらす辛い痛みや腫れなどに悩まされる関節リウマチ。炎症が慢性化すると関節の骨や軟骨が破壊され変形して日常生活に支障をきたす女性に多い原因不明の難病です。新薬開発で病気の進行を抑える手立ても出来てきましたが、高齢化で難病に悩む人は増加傾向。初期症状を見逃さず早く治療を始めるのがカギのようです。
◎早い治療が効果的 初期症状を見逃すな◎
関節や骨、筋肉、腱などが痛む病気を総称して膠原病といいますが、その中で特に多いのが関節滑膜の慢性炎症性疾患の関節リウマチ。高齢者に多いと思われがちだが、実は働き盛りの30〜50代に発病し、男女比1対4で比較的女性に多い病気です。わが国では70万人いるといわれます。なぜ女性に多いのかまだはっきり分かりません。
関節の骨と骨が向き合う面はコラーゲンに富み、水分も含む弾力のある軟骨で覆われ関節を滑らかにします。それを助けるのが滑膜で軟骨がこすれ合う時の潤滑油になったり、軟骨に栄養補給などをします。しかし滑膜に炎症が起きると痛みや腫れを起し徐々に軟骨や骨を破壊。それが積み重なり5〜10年で変形したり動かなくなり、生活の質が大幅に低下します。関節リウマチの原因はいまだに分かっていません。遺伝や免疫異常、未知の環境要因など多様な要因が絡み合い発病すると考えられています。また関節リウマチの人の血液中にはリウマチ因子という抗体があることや禁煙は発病リスクを高めることが知られています。
関節リウマチの初期症状で代表的なのは朝の「こわばり」感。他に食欲がない、だるい、熱っぽい、体重減少などの症状もあるが気づかない場合が多いようです。朝こわばりを感じたら関節リウマチを疑う必要があります。痛みが左右対称に現れるのも特徴。こわばりは眠っている間に炎症で体液が溜まり、むくむためと考えられます。この炎症反応は実は傷ついた組織を修復しようとする防衛反応。我々には免疫機能が備わっているが、関節リウマチはこのシステムに異常が生じ、免疫細胞が守るべき体を攻撃してしまうことで引き起こされます。
関節リウマチの「腫れ」は多くの場合指の第2、第3関節から始まり、足の指、足首、ひざ、ひじ、肩などに広がります。関節や軟骨の破壊が進むと筋肉が硬くなり、関節の変形が起きることがあります。
関節破壊は発症6か月以内に出現することが多く、しかも1年間の進行が最も著しいのでこうした症状に気付いたら早めに医療機関を受診すべきです。早期診断と適切な早期治療が何より重要です。
関節リウマチの治療は@薬物療法A理学療法B手術療法―を症例に応じて適宜組み合わせます。薬物療法では病気の根幹に働きかける抗リウマチ薬や非ステロイド性抗炎症薬などで炎症や痛みを抑えますが、近年@は格段の進歩を遂げています。Aは温熱、氷、赤外線、超音波などを利用したリハビリテーションで@と並行して行います。Bは炎症のひどい関節滑膜を内視鏡を使い除去する手術などですが、薬物療法の進歩により減っています。治療の妨げになるものに過度の肉体的・精神的ストレスがあります。患者の多くは主婦や中年の女性という点から関節リウマチという病気を周りの人もよく理解し、家事のサポートなどを積極的に行いたいものです。
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