広報誌 南東北

第250号

糖尿病にならないために

肥満防止が糖尿病予防

40歳以上の10人に1人といわれ、増え続ける糖尿病。インスリンというホルモン不足が原因で病気の発症のはじめは自覚症状もありません。ただ進行すると合併症を引き起こし大変なことになります。初期ならば食事や運動などでコントロールできますが、決して治るこはありません。糖尿病にならないためにどうしたらよいかを考えます。
◎見逃すな高血糖のサイン◎
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気。体を動かすエネルギー源として筋肉や脂肪細胞に運ばれるはずのブドウ糖がうまく細胞に取り込まれず、血液の中に余ってしまい尿によって体外に流れ出ることから「糖尿病」と呼ばれます。
日頃我々が口にするご飯やパンなどは身体の中で「糖代謝」という仕組みでブドウ糖に変換され、体を動かすエネルギーとなるが、糖尿病はそれがうまくいかなくなった状態です。糖代謝では膵臓から分泌されるインスリンと言うホルモンにより血糖値が一定に保たれています。しかし生活習慣の乱れにより過食や肥満、運動不足などでインスリンの分泌が悪くなり慢性的な高血糖になってしまいます。糖尿病は完全に治すことはできないため一生いまく付き合っていくほかなくなります。
糖尿病の原因には大きく分けてインスリンを作る細胞が破壊され、絶対量がたりない1型とインスリンの出る量が少なかったり、働きが悪い2型があります。1型は子どものうちから始まり、2型は食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多く、わが国の95%がこのタイプ。そのほか妊娠糖尿病や遺伝子の異常、他の病気が原因となる場合もある。それぞれ原因が違うので治療法も変わります。
糖尿病は当初は身体がだるい、疲れやすいといった程度で痛みなどの自覚症状はないため、健康診断などで血糖値が高くても治療を受けず放置する人が大半。糖尿病を疑われる人は全国的に約2200万人いるといわれ、その4割は治療を受けたことがない人です。平成19年度の人口動態続計によると年間1万4000人が糖尿病で死亡していますが、中でも問題なのが糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症などの「合併症」です。発症して10〜15年放置し、治療せずにいるとこれらの合併症がでて来ます。腎臓病の人は糖尿病になるとそれらの症状を悪化させることになります。しきりに多量の尿が出る。やたらと喉が渇く。何もしないのに体重が落ちて来た―は、典型的な高血糖のサインです
重要な糖尿病予防は肥満防止。食事の量と栄養のバランスに気をつける食事療法は基本です。食事は決まった時間に、ゆっくりと時間をかけて食べる。しかも薄味で調理、野菜を多く摂る。マヨネーズやドレッシングなど油の多いものは避け、甘いものは控える。生もの、煮物、焼き物、蒸し物に徹し、アルコールを制限する―などが大切です。
もう一つ大事なのは無理のない「適度な運動」。激しいトレーニングが必要ではなく、できるだけ外出時は歩く、エレベータに乗らず階段を使う、暇な時はストレッチをするといったことです。運動は身体の中性脂肪を減らし筋肉をつけることで基礎代謝量の多い体を作ります。糖尿病予備軍のうちに太り過ぎをなくし、いかに糖尿病にならないようにするかです。
もし糖尿病になってしまっても血糖を下げる薬やインスリン注射といった治療がありますが、治療は一生続くためやはり自己管理が大切です。それができれば治療中でも健康な人と変わらない生活が可能です。きちんとした食事と運動は健康の基本。それを心がけ日々の生活を送れれば糖尿病は回避できるはずです。

食生活と適度な運動 予備軍のうちに徹底管理

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